ボンヘッファー3

 ボンヘッファーの3回目です。ボンヘッファー研究は、日本でもこれまで比較的多くの研究者が取り組んできた分野であり、特に教会闘争、ナチスとの闘いといった文脈での研究はかなりの蓄積があると言ってよいであろう。しかし、ボンヘッファー研究の中心は、ドイツにあることは容易に想像がつくここと思われるが、近年、英語圏でのボンヘッファー研究もかなりの水準に達している。
 2回前の「ボンヘッファー1」で紹介した村上伸さんのボンヘッファー伝では、ボンヘッファーの1930年のアメリカ留学に関連して、次のように述べられている。「その年の九月に、ディートリッヒはアメリカに渡っています。ニューヨークのユニオン神学校に留学するためです。はじめは、「神学に関してはドイツが本家だ」というような意識があって、アメリカにそれほど期待していませんでした」(64-65頁)。
 おそらく、これは1930年代のドイツの神学者・神学生の平均的な考えではなかっただろうか。そして、これは実態的にそれほど的外れではなかったのである。神学に関しては、ドイツ神学の学問的水準はほかの地域の神学研究をリードすべきものであり、それは現在も一定程度妥当するであろう。しかし、その後、アメリカの神学研究の水準は大きく前進し、多くの分野で決してドイツに劣っていない状況に達している。ボンヘッファー研究においても、またバルト研究においても、アメリカを中心とした英語圏における研究の進展はかなりのものと言わねばならない。
 
 今回紹介するのは、英語圏でのボンヘッファー研究論集である。なお、この文献に接したのは、以前に京都大学キリスト教学でボンヘッファー研究を行った学生がおり、その研究指導の際に購入したものである。学生の研究指導が指導する側に影響を生じるという関係性である。

Brian Gregor & Jens Zimmermann (eds.),
Bonhoeffer and Continental Thought. Cruciform Philosophy,
Indiana University Press, 2009.

Acknowledgements
List of Abbreviations

Introduction: Dietrich Bonhoeffer and Cruciform Philosophy (Brian Gregor and Jens Zimmermann)

One: Bonhoeffer on the Limits of Philosophy
  1 Bonhoeffer on the Uses and Limits of Philosophy (Christiane Tietz)
  2 Bonhoeffer, This-Worldliness and the Limits of Phenomenology (Paul D. Janz)

Two: Bonhoeffer vis-a-vis Nietzsche and Heidegger
  3 Aristocratic Christendom: On Bonhoeffer and Nietzsche (Frits de Lange)
  4 "Who Stands Fast?" Do Philosophers Make Good Résistants? (Jean Greisch)
  5 Dietrich Bonhoeffer and Martin Heidegger: Two Different Visions of Humanity (Jens Zimmermann)

Three: Regarding "Religionless Christianity"
  6 Philosophical Influences on Bohnoeffer's "Religionless Christianity" (Ralf K. Wüstenberg)
  7 The Non-religious Interpretation of Christianity in Bonhoeffer (Paul Ricoeur) 
  8 Bonhoeffer's "Religious Clothes": The Naked Man, the Secret, and What We Hear (Kevin Hart)

Four: Bonhoeffer on Ethics and the Eschaton
  9 Bonhoeffer's "Christian Social Philosophy ": Conscience, Alterity, and the Moment of Ethical Responsibility (Brian Gregor)
 10 "At the Recurrent End of the Unending": Bonhpeffer's Eschatoloy of the Penultimate (John Panteleimon Manoussakis)

List of Contributors
Index

 リクールも論文を寄せており、ボンヘッファーを哲学の文脈に位置づける試みとして、なかなか面白い論集である。
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