ティリッヒ研究文献(71)、周辺的・わたくしの場合

 このブログに、ティリッヒ研究文献が移動して、すでに70回を経過した。
 今回は、わたくし自身の最近のティリッヒ研究を紹介してみたい(自分自身の確認ということである。振り返りつつ態勢を整える作業)。
 わたくしは、学生時代より博士論文執筆まで、かなり集中的にティリッヒ研究を行ってきた(1980年代から90年代のはじめまで)。その後は、一方で世界的なティリッヒ研究の新しい動向(ティリッヒ・ドイツ語版全集の補遺遺稿集における初期ティリッヒの未刊行文献の刊行や、新しいティリッヒの批判的選集の刊行など。それに伴う初期前期ティリッヒ研究の進展)の中で、コンスタントに研究を継続しつつも、わたくしの研究は、ティリッヒからいかに研究領域を拡張するかという動機付けにしたがった方向に進むことになる。これは、京都大学キリスト教学専修で「キリスト教学」を担当することになったという事情の要請という面、自分自身がティリッヒ研究からいわば脱皮する必要を感じたという面がある。
 ともかくも、90年代からしばらくは、わたくしのティリッヒ研究は、主にティリッヒ研究会という場で展開することになる。その成果は、この研究会発行の『ティリッヒ研究』(創刊号から第11号まで)に収録されている。
 しかし、この時期のティリッヒとわたくしとの関わりで最大の成果は、キリスト教学専修において、ティリッヒ研究会を通して、ティリッヒ研究を専門にし、ティリッヒに関する博士学位論文を執筆する研究者が生まれたことであり、わたくし自身は、ティリッヒ研究から次第に、宗教言語・テキスト論、自然神学と「宗教と科学」関係論、近代化・寛容・宗教多元性、アジア・日本のキリスト教思想とフィールド調査などへと研究の中心を移動させることになった。大学の講義や演習でティリッヒを取り上げることは珍しくなった。
 こうした中で、この数年、自分の中でティリッヒ研究の位置が再度変化しつつある。ティリッヒのテキストを演習で取り上げ、講義や講演でもティリッヒを参照する機会が明らかに増加してきている。本ブログなどで、ティリッヒ研究文献紹介を行っていることも、この変化の表れかもしれない。ティリッヒに専ら集中した論文執筆はかなり長い間行っていないが(日本宗教学会・学術大会で、学生時代から連続的に継続してきたティリッヒについて個人発表も、ここしばらくは途切れている)、ティリッヒを一定の文脈で、ほかの思想家たちを組み合わせて取り上げる形で、論文執筆も再開されつつある。次の二つは、その事例である(ここからが、「ティリッヒ研究文献」の紹介)。

「現代思想と〈神〉の問い──ティリッヒからジジェクまで」、『理想』No.688、2012年3月、理想社、pp.40-52。

「アガペーとエロース──ニーグレン・波多野・ティリッヒ」、京都大学基督教学会『基督教学研究』第27号、2013年12月、pp.23-41。

 これは、一定の問題をキリスト教思想として論じる際の方法論としてのティリッヒの有効性の再認識ということであり、わたくし自身の中に、ティリッヒ的思惟が根付いていることに意味しているのであろう。こうしたティリッヒの取り扱いや、大学の授業でのティリッヒの取り扱いは、しばらく継続するのではないかと考えている。来月11月には、原発・テクノロジーというテーマで講演・シンポジウムを行うことになっているが(12月は宗教言語に関して)、そこでもティリッヒについてまとまった言及を行う予定である。
 しかし、当面の課題は、『ティリッヒ研究』に執筆した論考を中心に、それらをその後の研究の進展という観点から加筆・修正し、まとまった形で刊行することである。来年度は別件があるため無理としても、さらにその後、数年という範囲が目標となる。 
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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