誤報、朝日新聞問題の歴史的古層へ

 最近のマスコミをめぐる問題状況を象徴的に示すのが、一連の誤報関連問題である。「STAP細胞」報道、「吉田調書」スクープ報道、そして「慰安婦報道」検証などなどである(話題ならず、そのまま過ぎていった無数の誤報がある。読売新聞の京都大学総長選考会議・誤報なども)。わたくしは、こうした中でも、慰安婦問題をめぐる報道には、関心をもっているが、『図書』(11.2014)に興味深いエッセイが掲載されいるので、紹介したい。

 メディア史を専門としている佐藤卓己さんの「誤報事件の古層」(16-23)である。ここで、佐藤は、「誤報事件の内容や影響ではなく、この誤報事件の歴史的古層」、1930年代、40年代へ問題を掘り下げることによって、誤報を論じている。
 これは、「「朝日バッシング」」の異常さにいたずらに巻き込まれることなく、しかも「朝日新聞社の事後対応」(『世界』10月号の神保太郎「メディア批評 慰安婦問題の矮小化を許すな」から、「議論があらぬ方向に展開しないよう、二の矢、三の矢のK記事の準備が欠かせないはずだが、朝日はその後、全くの黙りを決め込んだ」という点である)を批判的に論じる視点を確保する上で有益であろう。

「一九九二年に吉田清治証言が虚偽だと実証されたとき、なぜすぐに記事撤回と謝罪ができなかったのだろうか。右に確認した朝日新聞関係者の誤報論と対策案を読めば読むほど、誤報の防止は困難に思えてくる。文句の付けようのない対策が何度も提案されながら、しかも誤報が繰りかえされるということは、その対策に実効性がないことを意味している。むしろ、「新聞記事」の考え方を抜本的に改める必要があるのではないだろうか。」(23、上段)

もちろん、保守メディアの「朝日バッシング」に便乗した批判・批評などは論外であるが(「朝日新聞の今回の対応に批判されるべき点は少なくないが、誤報を認めたという点では評価しなくてはならない」(23、中段)。誤報を認めないメディアのなんと多いことか)、誤報に象徴されたメディアの現状は、歴史的古層からの分析が必要なほど深刻である。
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