山は越えたか。職員組合より1

 京都大学における「未払い賃金請求訴訟」は、山場と言える証人尋問が終了した。わたくしは、職員組合の一員としてこの訴訟に関与し、この二回にわたる尋問を傍聴した。傍聴の記録は、「証人尋問・傍聴記」としてすでに公にされているので、本ブログでも、まず、10月29日の第一回尋問も記録を掲載したい。この訴訟は、巨大な日本の教育「改革」・政治「改革」の小さな一コマではあるが、後世においてどう評価されることになるだろうか。

証人尋問・傍聴記1

10月29日、京都地裁第101号法廷において未払い賃金請求訴訟の証人尋問が行われた。これまでの口頭弁論で行われた原告被告それぞれの主張に対して、証人の証言による裏付けが求まられるわけであり、公判もいよいよ山場を迎えた。29日は被告側の二人の証人に対して、まず被告側の弁護士が主尋問を行い、次に原告側の弁護士が反対尋問を行う、という順で進められた(4時間近く)。主尋問は後の反対尋問を予測する形で論点を丁寧に確認する仕方で進められ、反対尋問はその矛盾点を突くという攻防となった。
 今回の証人尋問の目的は、反対尋問によって被告側の主張を切り崩すことよって裁判を優位に進めることと、被告側の論点を顕わにすることによって、一週間後の11月5日の二回目の証人尋問(原告側の三人、石田前書記長、高山原告団長、西牟田委員長が登場)に備えることである。

 被告側の論点は結局次の点に尽きている。
1.給与引き下げという国の要請は事実上の強制であった。文言による強制ではないが、京都大学当局は強制と受け取った。この要請=強制に従わない場合、大学の社会的な責任を果たしていないと言うことで、マスコミや世間(?)からに批判に晒されることになる。
2.給与引き下げを実施するために、手続きに則った説明を行った。つまり、部局長会議、教育研究評議会、経営協議会、役員会で審議し、教職員には一斉メール、グループウェア、ホームページによって周知し、組合とも団交などで説明した。
3.国の要請=強制に対して、他大学と比べて減額率を圧縮することを、京都大学は自主的に行った。
4.運営交付金の減額(1年度あたり30億円余り)に対処するには、人件費の削減が不可欠であった。交付金のうちの物件費は人件費に回すことができず、外部資金の間接経費も寄付金からも人件費は支出できない。交付金における人件費の減額=給与削減しかなかった。

 以上の論点はこれまで被告側が述べてきたことの繰り返しであり、この論点をつぶす作業が次回の証人尋問のテーマとなるが、被告側の立論からわかったことは、次の点である。まず、給与削減はそもそも前提であった(給与削減ありき)。そしてこの前提は国の要請に応えることこそが大学に使命であるという公務員時代の発想へのとらわれからの帰結なのである。この前時代的意識こそが人件費削減を回避することの検討を放棄させ、教職員と組合への対応の不誠実さの元凶なのである。国の政策が誤っているときに、それを批判し質すことが大学の真の社会的責任であることを、もはや公務員ではない大学教職員は自覚しなければならない。ここに根本的な争点がある。
 第一回の証人尋問が終わり、山の4合目までは進むことはできた。後は、再度法廷を傍聴人で埋め尽くすことによって、第二回目の証人尋問に勝利するという山の頂上を目指すことのみである。11月5日の証人尋問への傍聴行動への参加を求めたい。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR