山は越えたか。職員組合より2

前回に続き、京都大学未払い賃金請求訴訟の証人尋問の傍聴記を掲載します。第二回目です。証人尋問はテレビ・ドラマでも目にするあれですが、実際にはなかなか大変なものです。今回は、原告サイドから三人の証人が立ちましたが、この三人がそろったのは、まさに絶妙のタイミングであったと感じました。この三人がいてはじめて今回の訴訟は可能になったともいえるでしょう。労働運動のベテランの石田さん、法律のスペシャリストの高山さん、経済がご専門の西牟田さん、原告は最強の布陣で尋問に臨みました。
 以下、傍聴記です。

証人尋問・傍聴記2

11月5日、京都地裁第101号法廷において未払い賃金請求訴訟の第二回目の証人尋問が行われた。前回が被告側証人への尋問であったのに対して、今回は、原告側の三人の証人として石田前書記長、高山原告団長、西牟田委員長が登場し、堂々と賃金引き下げの不当性を主張した。尋問は、石田前書記長、高山原告団長、西牟田委員長の順で、それぞれに、原告側弁護士による主尋問と被告側弁護士による反対尋問が行われ、途中に10分間の休憩を挟んで行われ、3時半におよぶものとなった。

今回の証人尋問のポイントは、前回の被告側証人尋問で被告側が主張した論点が無効であることを、われわれ原告側が事実関係に基づいていかに説得的に明らかにできるのかという点にあったが、三人の証人と主尋問を行う弁護士との入念な打ち合わせによって次のように尋問は進められた。まず石田前書記長が団体交渉における法人側の対応が交渉と言えるような内容を持っておらず、法人による教職員への賃下げの周知方法も不十分であったことを明らかにし、続く高山原告団長はこの点に加えて賃金引き下げが教職員の生活はもちろん教育研究全般に深刻な悪影響を及ぼしたことを具体的に示した。そして最後に、西牟田委員長が、京都大学の財政分析に基づいて「運営交付金の減額(30億円余り)に対処するには、人件費の削減が不可欠であった」という法人側の主張を突き崩した。

以上の尋問によって、法人側の主なる論点(事実上の国の強制、引き下げのための十分な手続き、人件費削減に財政的な必要性など)はほぼ完璧に反論されたわけであるが、これに対して、法人側弁護士は、些末とも言える細かな文言や記憶に関連した反対尋問を試みた。たとえば、賃金引き下げ対象となった教職員数に対して原告団へ参加している教職員数が少ないことなどを指摘して、教職員が賃金引き下げに対して「暗黙の同意」を行ったかの印象を作り出そうとしたが、しかし、高山原告団長の証言の前にこの被告側の試みはみごとに破綻したと言わざるを得ないであろう。

今回の証人尋問で、賃下げという「不利益変更」を強行した法人側に求められていたのは、その合理的かつ十分な理由を説明することであった。しかし、以上からもわかるように、法人側はこの合理的な理由を何ら提示することはできなかった。むしろ、三人の証人の主張は、反対尋問に応えることを通して、大学の社会的責任とは政府の「要請」にひたすら応えることなのではなく、国の政策が誤っている場合には、それを説得的に批判することなのだという論点を明確にし、そのために、大学の自治、研究教育の自由が不可欠であることを裁判の場で示すものとなった。

これからの裁判の日程は、来年1月22日午前10時からの最終弁論を経て、いよいよ結審へと向かうことになる。今回は70人あまりの傍聴人の見守る中で証人尋問が行われ、証人は大いに勇気づけられた。次回1月22日も京都地裁第101号法廷がいっぱいの傍聴人で埋め尽くされるよう、傍聴行動への参加をお願いしたい。 
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