クローナーとの往復書簡

 ティリッヒは、自伝的著述に際して、自らの思索の場をしばしば「境界に立って」と記述し、さまざまな諸境界を描き出している。その中でも重要な境界のひとつが「哲学と神学」の境界であり、ティリッヒ自身が哲学者であり神学者であるという二重性において生きた思想家であった。したがって、ティリッヒの知的交流も、哲学者と神学者とのまたがるものとなる(おそらく、これは哲学と神学という学自体の特性から言っても、当然の状況であり、両学問流域があたかも分断されているかに見えるのはきわめて不幸な事態と言うべきであろう。そして、これが近代以降、現代の現実である)。
 ティリッヒの交友の中に登場する哲学者として挙げられるのが『カントからヘーゲルまで』で知られるリヒャルト・クローナーであった。その交友はティリッヒのドイツ時代からアメリカ時代まで、そしてお互いの家族にまでおよぶものとなっている。
 この両者の交流の足跡と言える往復書簡が、さまざまな関連文献や解説とともに邦訳出版された。ティリッヒに関する評伝的な事実を補足しあるいは修正する上で有益なものである。

フリードリヒ・ヴィルヘルム・グラーフ/アルフ・クリストファーセン編
(茂牧人・深井智朗・宮崎直美訳)
『精神の自己主張 ティリヒ=クローナー往復書簡1942-1964』
未来社、2014年11月。

第一部  精神の自己主張──リヒャルト・クローナーとパウル・ティリヒ往復書簡(フリードリヒ・ヴィルヘルム・グラーフ/アルフ・クリストファーセン)

第二部  パウル・ティリヒとリヒャルト・クローナー往復書簡、及び関連文献
関連文献
 補遺1 リヒャルト・クローナー博士[を紹介する](パウル・ティリヒ)
 補遺2 生き生きした理性──アメリカにおける哲学的・神学的思想の基礎(リヒャルト・クローナー)
 補遺3 リヒャルト・クローナーを記念して(ハンス=ゲオルグ・ガダマー)

第三部  訳者解題──二人の亡命知識人の精神史的考察(深井智朗)

訳者あとがき(茂牧人)
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR