日本における税の問題

 現代社会における経済をめぐる問題はさまざまであるが、現在日本における争点は、消費税の引き上げにあることは間違いないであろう。衆議院の解散うんぬんもこれを焦点としており、政治状況も一挙に流動化しつつある。
 民主主義社会における税の基本は、有権者が自分で考え自分で投票し、それが全体の選択として形になり、それを政治家と官僚が誠実に遂行することであることは言うまでもない(この言うまでもないはずの事柄に現代日本の問題はある)。そのための前提の一つは、有権者が自分で考え決断することを可能にするだけの考える材料=情報が、明確な形で提示されることであり、これも政治家の役割であるとともに、何よりもマスコミの責任である。このマスコミが十分な機能を果たし得ていないことが日本の政治的貧困の原因となっている。とすれば、有権者の側が能動的に情報収集しなければならないことになる。

 消費税引き上げ、法人税引き下げということが不可避あるいは自明であるかの論調を批判的に点検するために、一読いただきたいものの一つとして次の文献の紹介したい(話題になりつつある?)。

富岡幸雄
『税金を払わない巨大企業』
文春新書、2014年9月。

はじめに

第1章 大企業は国に税金を払ってない
第2章 企業のエゴむき出しの経済界のリーダーたち
第3章 大企業はどのように法人税を少なくしているか
第4章 日本を捨てて世界で大儲けしている巨大企業
第5章 激化する世界税金戦争
第6章 富裕層を優遇する巨大ループホール
第7章 消費増税は不況を招く
第8章 崩壊した法人税制を建て直せ!

あとがき

 国税庁職員としての経験に立った著者の分析は明晰であり、説得的である。具体的な企業名と数字を示した論であり、単なる想像世界の空論ではない。「あとがき」の冒頭にあるように、「本書は決して大企業バッシングではありません」ということであったとしても、「日本の法人税は本当に高いのか?」(「マスコミが誤用する「実効税率」」)、「巨大企業の負担は法定税率の半分以下」、「世界一安い日本の富裕層の税金」などからすれば、「〝企業性善説〟が通用しない時代」ということは無視できない議論と思われます。
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