スピリチュアリティと宗教、そして実践

 スピリチュアリティをめぐる問題は、現代の思想的文脈で、いのちやこころ、環境などを問う際のキーワードであり、の広がりは、宗教・キリスト教はもちろん、倫理、哲学、そしてソーシャルワーク、社会福祉など、多岐にわたる分野に及んでいる。今回紹介する文献は、こうしたスピリチュアリティをめぐる問題を、宗教を視野に入れつつ、社会的実践(福祉・医療・対人援助)の現場にそくして扱った論集であり、大部ではあるが(600ページを超える)、理論的また実践的な対極的構図を把握する手がかりとなるものである。特に、各章の最後に練習問題が配置され、諸論考の議論をさらに展開することが可能であり、付録Cのリソースや詳細な参考文献表もまさに参照に値する内容である。
 監訳者や本翻訳スタッフも充実した顔ぶれであり、信頼できる。個人で購入することはもちろん、関連の研究室や図書館に備え付けられるに相応しいようにも思われる。

エドワード・R・カンダ/レオラ・ディラッド・フォーマン
(木原活信/中川吉晴/藤井美和監訳)
『ソーシャルワークにおけるスピリチュアリティとは何か──人間の根源性にもとづく援助の核心』
ミネルヴァ書房、2014年12月。

日本語版への序文
謝辞
使用許可について
序文
凡例
読者のみなさんへ

第I部 スピリチュアリティに配慮したソーシャルワークの中心的な価値観と概念
第1章 指針となる原則
 1 なぜスピリチュアリティが問題となるのか
 2 本書の執筆にあたって指針とした7つの原則
 3 各章の概観
 練習問題

第2章 共感、サービスへの召命、ソーシャルワークの倫理原則
 1 専門的なソーシャルワークにおける共感という徳
 2 宗教的伝統における共感の象徴
 3 共感の共通した核心
 4 スピリチュアリティに配慮したソーシャルワークのための倫理原則
 おわりに
 練習問題

第3章 スピリチュアリティの意味
 1 スピリチュアリティを定義するという挑戦
 2 援助専門職におけるスピリチュアリティの概念
 3 スピリチュアリティに関する定義とモデル
 4 スピリチュアリティ研究における主要な論点
 おわりに
 練習問題

第II部 ソーシャルワーク実践のためのスピリチュアリティな多様性の探究
第4章 人間の多様性、スピリチュアリティ、ソーシャルワーク実践
 1 アメリカ合衆国における霊的多様性の歴史
 2 民族の多様性とスピリチュアリティ
 3 女性とスピリチュアリティ
 4 同性愛、多様な性的指向、スピリチュアリティ
 おわりに
 練習問題

第5章 ソーシャルワークサービス宗教的観点とソーシャルワーク実践への洞察
 1 仏教とソーシャルサービス
 2 キリスト教とソーシャルサービス
 3 儒教とソーシャルサービス
 4 ヒンドゥー教とソーシャルサービス
 5 北米先住民の諸宗教とソーシャルサービス
 6 イスラームとソーシャルサービス
 7 ユダヤ教とソーシャルサービス
 おわりに
 練習問題

第6章 非宗派的な霊的観点、観点の比較、協力に向けての示唆
 1 実存主義とソーシャルサービス
 2 トランスパーソナル理論とソーシャルサービス
 3 サービスに関する霊的観点との比較
 4 霊的観点のあいだの対話と協力
 おわりに
 練習問題

第III部 スピリチュアリティに配慮したソーシャルサービスの実際
第7章 スピリチュアリティに配慮した実践的文脈の創造
 1 援助関係の援助過程
 2 ソーシャルワーク実践へのポリティックなアプローチ
 おわりに
 練習問題

第8章 スピリチュアルな発達の理解とアセスメント
 1 スピリチュアルな発達と日常生活
 2 スピリチュアル・エマージェンスとエマージェンシー
 3 ライフスタイルを通じたスピリチュアル・エマージェンス
 4 スピリチュアルな経験と発達をアセスメントする
 おわりに
 練習問題

第9章 スピリチュアルに配慮した文化的に適切な実践のための倫理的ガイドライン
 1 スピリチュアリティ志向の活動のための倫理的ガイドライン
 2 文化的コンピテンスのための倫理的指針
 3 スピリチュアリティに配慮した実践のための文化超越的チームワーク
 おわりに
 練習問題

第10章 スピリチュアリティ志向の変容的実践
 1 変容の原理としてのソーシャルワーク実践
 2 変容的な援助過程の事例
 3 スピリチュアルな成長を志向する援助活動
 4 マンドフルネスと瞑想の実践
 5 儀礼や儀式を取りいれる
 6 赦しを実践する
 おわりに
 練習問題

第11章 世界的な遺産
 1 スピリチュアリティ志向の援助活動を再考する
 2 さまざまな実践領域におけるスピリチュアリティ
 3 スピリチュアリティに配慮した実践の世界的視座
 おわりに
 練習問題

監訳者あとがき
付録
 A 詳細なスピリチュアル・アセスメントのための話し合いのガイド
 B 全米ソーシャルワーカー協会会員を対象とした「実践におけるスピリチュアリティと宗教に関する2008年全国調査」の調査方法に概略
 C さまざまな実践領域のなかでのスピリチュアリティに取り組むためのリソース

参考文献
人名索引
事項索引
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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