キリスト教とローマ帝国

 キリスト教とローマ帝国をめぐっては、歴史研究を軸に、それに考古学や社会学を組み合わせた仕方で、様々な議論が進行中である。それは当然、聖書学やユダヤ学も巻き込みながら進展しており、本ブログとの関わりで言えば、聖書と社会・経済・政治というテーマは、まさにこうした研究動向に支えられている。
 こうした中で、これまでしばしば話題となってきた文献が翻訳された(わたくしは水垣先生より本書のことを伺ってきてから、注目してきた)。

ロドニー・スターク
『キリスト教とローマ帝国──小さなメシア運動が帝国に広がった理由』
新教出版社、2014年(原著、1996年)

はじめに

第一章 信者の増加と改宗
  増加の計測/改宗について/科学的一般化について/社会理論と歴史の再構成

第二章 初期キリスト教の階級意識
  階級・セクト・カルト/階級と帰依/新宗教の魅力/現代の新宗教における階級構成/カルト運動としてのキリスト教/結論

第三章 ユダヤ人宣教は成功したか
  ユダヤ人はキリスト教を拒否したか/関連する科学/ヘレニズム化した離散ユダヤ教の状況/文化的継続性/順応ユダヤ教/ネットワーク/物理的新証拠/結論/最後に

第四章 疫病・ネットワーク・改宗
  疫病/危機と信仰/生存率と黄金律/キリスト教徒の対応・異教徒の対応/死亡率の差違/倫理・逃避・愛着/結論

第五章 信者の増加と女性の役割
  キリスト教徒と異教徒の性比/改宗における性の偏り/性比と女性の地位/キリスト教女性信者の相対的な地位/出生率という要因/低出生率の由来/キリスト教徒の子だくさん/結論

第六章 都市帝国のキリスト教化──数量的アプローチ
  規模による都市の選定/キリスト教化/位置/離散ユダヤ人/グノーシス/結論

第七章 都市の混乱と危機──アンティオキアの場合
  都市の慢性的窮乏──その物理的要因/社会の混乱と慢性的な都市の窮乏/天災と人災/結論

第八章 殉教者──合理的選択としての自己犠牲
  宗教と合理性/信頼の問題/「ただ乗り」の問題/自己犠牲とスティグマ/キリスト教徒の自己犠牲/究極の自己犠牲/殉教とキリスト教徒の確信/キリスト教の報い

第九章 時期と組織
  時期/組織/結論

第十章 徳についての小論
  言/肉/

原注

解説(松本宣郎)

文献表

 話題になるだけの内容。方法論という点からも正面から取り上げるべきであろう。アメリカを中心に、古代史研究は大きく動いており、聖書学もその外部に立つことはできない。

 この文献の邦訳者は、穐田信子さんであるが、穐田さんは、京都大学文学部キリスト教学のご出身である。わたくしが、理学部から文学部へ編入学した前年度のご卒業と聞いている。キリスト教学ではちょうど入れ違いとなったわけであり、直接の面識はないが、キリスト教学専修関係者が翻訳者としてご活躍であることがわかり、今年の良いニュースの一つであった。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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