キリスト教と神話

 キリスト教と神話という問題は、近代以降、きわめて困難なテーマとなっている。それを象徴するのが、ブルトマンの非神話論化の提唱であり、それは近代以降の暗黙のあるいは顕わな問いを明確に提示した点で決定的な意義を有している。しかし、聖書テキストの実存論的解釈にもかかわらず、聖書解釈は神話との関わりを回避することは困難なように思われる。
 それは、キリストの出来事の中心をなす十字架と復活が、神話的モチーフと不可分だからである。聖書の宗教は古代のメソポタミアとエジプトの神話体系と密接な連関にあることは聖書学の共通認識と思われるが、神の死と「復活」というモチーフは古代エジプト神話、たとえば、オシリス神話に遡及するとは言えないだろうか(これはまったくの素人考えである。また、オシリスの復活とキリストの復活とが質的に相違することも確かであるが、しかし・・・)。不思議なことに、聖書的宗教はその決定的なときどきにおいて、エジプトとの関係を示唆する記述を含んでおり(モーセとアクエンアテンとの関係づけというフロイト説(『モーセと一神教』)はこの点に関わっている。もっとも、この「天才フロイトの珍説」は、現代のエジプト学、旧約聖書学、イスラエル史学においては否定されているとのことである。山我哲雄『一神教の起源』筑摩書房、を参照)、またエジプトのキリスト教会の古さ、キリスト教が古代地中海世界に展開する時期にイシス・オシリスの密儀の隣接しうることなど(キリストの復活理解と密儀宗教との関連は、ブルトマン自身が、『新約聖書神学』で論じている)、さまざまな点を考え合わせると、古代エジプトとキリスト教との神話レベルでの濃厚な連関が想像されるのを論理的に排除することは難しいように思われてくる。

 ともかくも、神話はさまざまなインスピレーションを与えてくれることは確かである。古代エジプト神話については、たとえば、わたくしに手元には次の文献がある。

ヴェロニカ・イオンズ
『エジプト神話』
青土社、1988年。

I 信仰と神々

II 世界の創造
  ヘリオポリスの宇宙創成説/メンフィスの宇宙創成説/ヘルモポリスの宇宙創成説/テーベの宇宙創成説/他の宇宙創成に関する観念

III 神々
  「最初の時」の神々/ファラオと王国の守護神/死の神々/神格化された人間と神聖ファラオ/神聖動物

IV 死後の生活──オシリス崇拝の普及
  オシリス崇拝のはじまり/死者の王としてのオシリス/復活のシンポルとしてのオシリス/防腐処置と埋葬儀礼/死者の裁判/オシリス崇拝の後代の発展

古代エジプト年表
訳者あとがき
参考文献
索引
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