ユダヤ教、キリスト教、イスラーム1

 イスラーム、キリスト教、そしてユダヤ教をめぐる問題が見通しの立たない中で、過去にこれら三者が豊かな相互交流を含む寛容な文化を生み出していたことを再確認することは有益ではないだろうか。これら三者の負の記憶を再生産することによって、利益を得ようとする流れに学的に対抗する必要がある。

 まず、次の文献を紹介したい(以前にも取り上げた記憶があるが)。

マリア・ロサ・メノカル
『寛容の文化──ムスリム、ユダヤ人、キリスト教徒の中世スペイン』
名古屋大学出版会、2005年。

まえがき (ハロルド・ブルーム)

Ⅰ 序論
Ⅱ 第一級の土地の簡潔な歴史
Ⅲ 記憶の宮殿
   モスクと棗椰子 七八六年、コルドバ
   母なることば 八五五年、コルドバ
   偉大なるワズィール、大いなる都市 九四九年、コルドバ
   記憶の庭園 一〇〇九年、コルドバの南、マディーナ・アルザフラー
   流浪の勝利者 一〇四一年、アルゴーナの戦場、コルドバとグラナダのはざまで
   愛と愛の歌 一〇六四年八月、セビーリャ西方、ウエルバへの道すがら、ニエブラ
           一〇六四年八月、ピレネーの麓、サラゴーサへの道すがら、バルバストロ
   丘の上の教会 一〇八五年、トレード
   ロンドンのアンダルス人 一一〇六年、ウエスカ
   船と駱駝の旅 一一四〇年、アレクサンドリア
   修道院長とクルアーン 一一四二年、クリュニー
   贈り物 一二三六年、シチリア
        一二三六年、コルドバ
        一二三六年、グラナダ
   パリの焚書 一二七七年、パリ
   別世界のヴィジョン 一三〇五年、アビラ
   カスティーリャ宮廷の外国人高官 一三六四年、セビーリャ
                         一三六四年、トレード
   アルハンブラにて 一四九二年、グラナダ
   ラ・マンチャの何処かで 一六〇五年
   エピローグ アンダルスの破片

あとがき
謝辞
訳者あとがき
参考文献 巻末8
索引 巻末1

「一九九二年八月二五日、セルビア軍がサライェヴォの国立図書館を砲撃しはじまた。もちろん、明確な意図があってのことである。一〇〇万冊以上の書物、一〇万冊以上の写本が故意に破壊された。三ヶ月前にはそれと同じ軍隊が、イスラームならびにユダヤ写本の膨大なコレクションを所蔵する同都市の東方学研究所に攻撃を加え、五〇〇〇点以上の書物を焼き払っている。なぜだろう。」(293-294)

 記憶の保持は政治的な意味を持つ。図書館とは古代よりそのための施設であった。こうした多くの寛容の文化の記憶は破壊された。その一方で、記憶を救い出す多くの努力がなされている。
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