2014年度の締めくくり、予餞会

 昨日(3月14日)、恒例のキリスト教学研究室の予餞会が、文学部校舎第7講義室で開催された。これで、2014年度の研究室の主なる活動は締めくくりとなる。今年度は、2人の学部卒業生と1人の修士課程修了者の研究発表が行われ(前半)、その後、懇親会(後半)が行われた。研究室の関連の先輩方の参加は例年よりもやや少なめであったが(大学が3月のこの時期になってもさまざま忙しいということなども出席が少ない原因かもしれない、予餞会の時期ややり方について再考が必要かもしれない)、充実した研究発表となった。
 発表は次の通り。

・齋藤 伎璃子「社会心理学的ステレオタイプ理論による一神教批判の分析」(卒論)
・田中吉隆「福音書の奇蹟物語~マルコ5章より読み解くイエス像~」(卒論)
・岡田勇督「聖書解釈学に対するH.G.ガダマーの寄与─親近性・異質性・伝統の概念を中心に─」(修論)

 研究テーマは多岐にわたり、キリスト教学専修のカバーする広がりを示している。その中で、齋藤さんの発表は、社会心理学という方法論を用いる点で、これまでのキリスト教学にない新しい研究の可能性を示したものであり、田中くんの発表は聖書学的な研究であり、キリスト教学において当然あってしかるべきものであるが、実は京都大学キリスト教学としては久しぶりの聖書学的研究であった。これらに対して、岡田くんの発表は、キリスト教研究と哲学とを積極的につなぐ試みであり、京都大学キリスト教学ではこれまで蓄積の多いテーマ設定と言えるかもしれない(もちろん、ガダマーを取り上げること、また具体的な問題設定は独自のものではあるが)。

 これらのテーマは一見するとばらばらの印象を与えるかもしれない。しかし、たとえば、岡田くんの設定した「親近性と異質性」という枠組みは、近代聖書学をその中に含むものであり(異質性=対象性の極あるいは傾向)、またステレオタイプという認知のあり方も、この枠組みと無関係ではない(親近性=帰属性への過度の偏りは、ステレオタイプと結びついて現象しないだろうか)。このように考えてくると、三つの発表は、さまざまな相互連関にあったとも言えることが見えてくる。

 ともかくも、以上の三人は、キリスト教学のそれぞれの時期を終了し、別々の方向へと進むことになる。進学する者、専門を変更する者、就職する者。4月以降の三人の活躍を祈りたい。

 4月以降の新しい年度に飛躍を必要としているのは、三人だけではなく、研究発表を聞いたわたしたち、そしてわたくし自身、また所用で参加できなかった方々すべてであろう。この点もかみしめながら、あと半月後の新年度に備えたい。もう、季節は春、時間の歩みも早くなる。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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