近代日本におけるキリスト教思想、カトリックの場合

 本ブログは、東アジア、特に日本のキリスト教思想をかなりの意識的に取り上げてきた。しかし、そのほとんどは、プロテスタント系の思想であり、これまでカトリックの思想家には触れることがなかった。カトリックの思想家で触れるべき人はいないのか。そんなことはなく、本ブログがそこまでの視野を有していなかっただけである。社会、政治、経済という問題領域を考えるときに、カトリック思想はおそらく重要な位置を占めていることが予想される。
 まず、近代日本の代表的なカトリック思想家として、岩下壮一(1889-1940)を取り上げたい。岩下の思想については、これまでまとまった形で読みうるような文献的な整備がなされてこなかったように思われる(もちろん、1960年代に、『岩下壮一全集』が存在しているわけであるが)。わたくしも、手元には、『カトリックの信仰』(講談社学術文庫)がある程度である。
 今回、岩下壮一を取り上げるのは、岩波文庫に 『信仰の遺産』が収録されたことによる。詳細な註解と解説が付され、略年譜、索引が整えられている。岩下がかなり身近になったように思われる。

岩下壮一
『信仰の遺産』
岩波文庫、2015年3月。

凡例

信仰の遺産
   編集の序(吉滿義彦)
キリストを見直す
キリストを信じうるか
DIDACHEに現れたる教会制度
初代教会の教役者──Didache十一章─十六章
カトリック的宗教態度
愛の要求としての教権
信仰の遺産(Depositum fidei)
ドグマと理性及び道徳との関係
キリスト教に於ける司教職
司教職と秘蹟(SACRAMENT)の問題
成義(JUSTIFICATIO)の神学
成義の本質
成聖(SANCTIFICATIO)の神学
成義の信仰と恩寵の意識
イエズスと律法

小篇
ルターと近代思潮
四旬節の黙想 十字架へ向って
キリストに倣いて
G・K・C管見
キリストの降誕
ある患者の死

註解(山本芳久)
解説(稲垣良典)
略年譜(山本芳久)
索引(山本芳久)

 近代日本のカトリックの思想状況が反映した諸論考と言えるが、思想家のみならず、社会実践家、教育者としても大きな働きをなした岩下の思想的基盤がここから読み取れるであろう。解説の中で、中国のカトリック教会と日本軍との関わりが触れられており(554頁)、興味深い。岩下も関わった、大学でのカトリック研究会の活動は、研究対象として取り上げるべきかもしれない。
 
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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