キリスト教の多様性と宗教研究

 キリスト教はきわめて多様で流動的な内容(現象形態)を有しており、それを方法論的にいかに理解し分析するかはそれに関わる哲学的思索が必要になる(宗教学の基礎論としての宗教哲学)。わたくしは、現在、「キリスト教学」という科目を担当しているが(京都大学と大谷大学において)、その最初のアプローチは現代宗教学的キリスト教学という立場から行い(前期)、その後キリスト教思想(後期)へ進むという手順をとっているが、それは、キリスト教の多様性(歴史的な、現在における)を無視した議論はできないとの理由からである。こうした現代におけるキリスト教を視野に入れる際に重要になる領域の一つが、非西欧におけるキリスト教である。キリスト教の量的な存在の中心が西欧から非西欧に移ってすでに一定の時間が経過したが、キリスト教研究はこの事実を十分に踏まえているだろうか。特に、重要なのは、アジア、そしてアフリカのキリスト教である。アフリカのキリスト教については、エイドリアン・ヘイスティングズ『アフリカのキリスト教 ひとつの解釈の試み』(教文館、1988年)が日本語で読むことができるが、事柄の重要性に比して、研究はあまりにも手薄な現状である。こうした中で、新しい研究成果が刊行された。今回はそれを取り上げたい。

吉田憲司
『宗教の始原を求めて 南部アフリカ聖霊教会の人びと』
岩波書店、2014年。

はじめに──「おまえの霊が村人にとり憑いた」

第1章 仮面舞踏の変容──チェワの人びとの死生観
第2章 チェワの人びとの病気観
第3章 ズィオン聖霊教会
第4章 憑依の系譜──刻み込まれた歴史
第5章 追跡、南部アフリカの聖霊教会
第6章 大司教エマヌエル・ミリンゴの半生

おわりに──宗教の再創造


参考文献
あとがき

 綿密なフィールド調査に基づく精緻な文化人類学的研究である。こうした研究は、聖書研究にも接続されることによって、従来の歴史的批判的方法論だけでは展開できなかった研究領域を開きつつある。フィールド調査に基づく文化人類学的なキリスト教学は、今後求まられる研究分野になると思われる。それが思想研究にいかにかかわるかは、さらにその先の問いであるが、興味深い問題と思われる。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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