関連論文を探す作業

 思想研究を行う際に重要な作業の一つは、そのテーマに関連する論文を探すという作業である。学位論文を執筆する場合にはかなり徹底した先行研究の収集・整理・分析が要求され、それだけでかなりの年月を費やすことになる。通常の論文執筆でも、学位論文ほどではないとしても、それなりの関連研究調査は、研究としての質を維持する上で不可欠であり(研究論文は研究者の個人的な感想文・覚書とは異なるものである。あるいは研究論文と研究ノートの違いと言ってもよいだろう)、常に意識的に取り組む必要がある。
 もちろん、最近ならば、インターネットでの検索でかなりの関連研究の調査は可能である。しかし、すべての研究論文のデータがインターネットにアップされているわけではない。日本国内の研究機関で毎年刊行される雑誌に掲載の論文については、かなり速やかにネット上に情報がアップされるものがある一方で(わたくしが関わる京都大学キリスト教学に関わるいくつかの雑誌はかなり早いアップを行っている。そもそもが電子ジャーナルである)、しかし、少なからぬ雑誌については、結局現物を見なければどんな論文が掲載されているかがわからないことは珍しくない。となると、論文調査は、昔ながらの地道な作業、そして勘ということにならざるをえない。著者名と掲載雑誌の性格・特徴とを手掛かりに、新刊雑誌が出れば、まずは目次を見、そして内容を確かめるということである(その点で、全国の様々な研究機関から雑誌が寄贈されるような研究室に所属することは研究上有利な条件と言える。京都大学キリスト教学研究室には毎年かなりの雑誌が寄贈されるが、その内容をチェックする必要がある。もちろん、これまでのそして現在の学生が、こうした点について気を配っているかは、やや心許ない気もするが)。当然、見落としということが発生することになる。
 
 そこで、見落としていた論文を一つ紹介したい。それは、「国際基督教大学キリスト教と文化研究所刊行」の『人文科学研究 キリスト教と文化』の45号(2014年3月刊行、つまり最新号の一つ前の号)に掲載の次の論文である。この研究雑誌は、毎年寄贈いただいているもので、キリスト教研究に関連した研究論文が多く掲載されており、注目すべき雑誌の一つである。

・川島重成「ソホクレス悲劇における<時>と人間」(1-25頁)。
 タイトルからは気づかなかったが、「波多野精一の時間論」に触れた上で議論が開始され、「パウロ(ロマ書)における希望」で締めくくられている。わたくしの研究テーマにも接点の多い、関連論文であった。

・吉馴明子「キリスト者の仏教論と時代思潮──日蓮から法然へ」(105-135頁)
 現在、わたくしが取り組んでいるテーマに直接関連した内容であり、当然気づいてしかるべきものであった。植村正久と内村鑑三の日蓮論から、木下尚江の日蓮論までが議論されており、明治期のキリスト教思想家が日本思想・日本の宗教文化をどのように理解し論じているかについて考える上で、きわめて示唆的である。

 時期的にまだまだ多くの研究雑誌の寄贈が予想される。これを自分の研究に活かせるかは、決して小さなことではなく、日頃の地道な努力は思いがけない発見に結び付くかもしれない。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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