キリスト教学基礎文献とは何か

 キリスト教研究に長年取り組んでおられる方には、今更の話題であるが、キリスト教学概論講義について記事を開催した関連で、キリスト教学基礎文献という問題に改めて思い至ったので、それについて書いてみたい。
 わたくしの概論講義に出席したことのある方は、よくご存じのように、概論講義では毎回レジメ(B4一枚に左右2頁)を配付し、最後に「参考文献」を掲載している。この参考文献を集めれば、キリスト教学基礎文献表に近いものができるわけであるが、基礎文献に入れるには難しいものがしばしば含まれ、また基礎文献表とするには、あまりにも欠落が多すぎる。
 これからキリスト教研究を関わろうとする人には、コンパクトではあるが、一定程度包括的な基礎文献表があれば、有益と思われるが(特に、京都大学は自由の学風、自学自習を強調する伝統にあるわけであって、自学自習の手引きは当然あってしかるべきものなはずである。京都大学文学部でもこうした試みは、例えば、西洋文献文化学系などで行われているはずである)、それは必ずしも容易な作業ではない。わたくしも、以前に、基礎文献表を作成し、Web(「ようそこ 芦名研究室へ」。「キリスト教思想入門」の頁内)に現在も公開中である。しかし、現在見直すと、やや古くなっただけでなく、随所に改善すべき点が存在する、まだまだのできばえである。
 
 そこで、今回は、こうした自学自習のための「手引き」として、次の文献を紹介したい。やや刊行年は古い感があるが、扱われるのが古典的な文献なので、現在のキリスト教学を学び始めた学生(学び始めようと考えている高校生から大学入学間もない学生)に勧めるのに問題ないと思われる。

宮田光雄
『信仰への旅立ち──読書のすすめ』
新教新書、1982年。

はじめに──本との出会い

I 人間であること
『星の王子さま』 サン=テグデュペリ
『生きがいについて』 神谷美恵子
『愛するということ』 フロム
『我と汝』 ブーバー

II 生きること信ずること
『罪と罰』 ドストエフスキー
『美しい女』 椎名麟三
『沈黙』 遠藤周作
『嵐の中の教会』 ブルーダー

III 祈ること考えること
『キリスト者の自由』 ルター
『共に生きる生活』 ボンヘッファー
『福音的キリスト教』 高倉徳太郎
『教義学要綱』 バルト

付論 一麦文庫一〇〇選

あとがき

 これは、付論に「一麦文庫一〇〇選」とあるように(この本で取り上げられたものにこの一〇〇選を加えると、基礎的文献表というイメージに近付く)、この書物は、宮田光雄さんが、東北大学に赴任以来行ってきた学生伝道(一麦学寮)での読書指導がもとになったものであり、実践の裏打ちのあるものである。
 わたくしも、この学生伝道・一麦学寮に関しては、宮田さんの講演(京都大学共助会の講演会(修養会?)。わたくしは学部から大学院にかけて、北白川教会で行われていた京大共助会の読書会に出席していた時期がある)をお聞きしたことがあり、魅力的な学生伝道との印象が残っている。
 この学生伝道については、次の本で読むことができる。

宮田光雄・宮田通子
『若き人びとと共に──私たちの学生伝道』
新教出版社、1993年。 

 ついでではないが、宮田光雄という思想家に関心のある方は、次の岩波新書から読み始めてはどうだろうか。
『非武装国民抵抗の思想』(1971年)、『キリスト教と笑い』(1992年)。
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