日本の組織神学を振り返る2

 組織神学は(だけではないが)、その輪郭を描くのが容易でない。熊野義孝『教義学』などは、誰が分類しても、日本の代表的な組織神学の成果であるが、わたくしの『ティリッヒと弁証神学の挑戦』はどうだろうか。組織神学者ティリッヒを扱いタイトルにも「神学」が入っているにもかかわらず、著者自身には「神学」という意識が明確ではない(これはあえて言えば、宗教学に属するキリスト教学の研究書)。神学者を扱えば神学書になる、というのはあまりにも安易である。

 そこで、組織神学にまさに分類すべき著作を、もう一冊、紹介したい。

近藤勝彦
『贖罪論とその周辺 組織神学の根本問題2』
教文館、2014年。

はじめに

第一部 贖罪論の再考
第一章 キリスト教のアイデンティティと贖罪論
第二章 十字架と神の国
第三章 贖罪論と三位一体論

第二部 即罪論史の再検討
第一章 アタナシオスの贖罪論とアンセルムスの贖罪論──古代と中世の場合
第二章 ルターの贖罪論
第三章 カルヴァンの贖罪論
第四章 フォーサイスの贖罪論
第五章 カール・バルトの「和解論」における贖罪論
第六章 植村正久の贖罪論

第三部 贖罪論の周辺
第一章 律法と福音──救済支店間とキリスト教的アイデンティティ
第二章 和解と救済
第三章 洗礼、その神学と生活
第四章 聖餐論の再検討
第五章 フォーサイスの人格的行為的聖餐論とその問題


初出一覧
あとがき
人名索引

 熊野義孝『教義学』のような神学体系の提示ではないが(「体系的なもの」は意識されてはいる)、組織神学に間違いなく分類可能な内容である。神学思想史と現代的状況についてのマクロな視点に特徴があるが、西洋キリスト教思想の文脈に植村正久を組み込んでいる点が興味深い。
 パネンベルクで言えば、Systematische Theologie というよりも、Grundfragen systematischer Theologien に近い性格の、あるいはBeiträge zur Systematischen Thelogie と位置づけるべき性格の著作である(厳密にはこれでもないが。パネンベルクのものはまさに論集といった体裁であるが、近藤の著作は、関連論文を緩やかな構想で集めたというよりも、緊密な構成で各章が配置されている)。
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