医療人類学の意義1

 医療人類学は、比較的新しい研究領域であるが、宗教と医療というテーマを論じる上で、きわめて重要な位置を占めている。新約聖書学で、「イエスの癒し」を正面から論じる場合に、伝統的な歴史的批判的方法論、あるいは様式史編集史といった方法論は決定的な限界を有していた。こうした聖書学の方法論的限界に挑もうとする場合に、医療人類学は大きな手掛かりを与えてくれる。世界の聖書学では、こうした問題意識はすでに研究の場に反映されているが(クロッサンの研究はこうした研究の実例となる)、日本では、宗教研究全般に視野を広げても、文化人類学的研究は別にして、十分な取り組みは見られないように思われる(これは、単にわたくしの視野の狭さに過ぎない可能性はある)。波平恵美子の一連の研究を、先駆的で研究としてあげることは可能であり、わたくしも、波平の研究にはお世話になっている。

 こうした医療人類学の現状を知る上で便利が文献が入手できたので、紹介したい。ただし、項目数が多いので、2回にわけた紹介になる。

Merrill Singer and Pamela I. Erickson (eds.),
A Companion to Medical Anthropology,
Blackwell, 2015 (2011).

Synopsis of Contents
List of Figures
List of Tables
Notes on Contributors
Acknowledgements -- Personal
Acknowledgements -- Sources

Introduction

Part I Theories, Applications, and Methods
1 Medical Anthropology in Disciplinary Context: Definitional Struggles and Key Debates (or Answeing the Cri Du Coeur)
(Elisa J. Sobo)
2 Critical Biocultural Approaches in Medical Anthropology (Tom Leatherman and Alan H. Goodman)
3 Applied Medical Anthropology: Praxis, Pragmants, Politics, and Promises (Robert T. Trotter, II)
4 Research Design and Methods in Medical Anthropology (Clarence C. Gravlee)
5 Medical Anthropology and Public Policy (Merrill Eisenberg)

Part II Contexts and Conditions
6 Culture and the Stress Process (William W. Dressler)
7 Global Health (Craig R. James and Kitty K. Corbett)
8 Syndemics in Global Health (Merrill Singer, D. Ann Herring, Judith Littleton, and Melanie Rock)
9 The Ecology of Disease and Health (Patricia K. Townsend)
10 The Medical Anthropology of Water (Linda M. Whiteford and Cecilia Vindrola Padros)
11 Political Violence, War and Medical Anthropology (Barbara Rylko-Bauer and Merrill Singer)

 残りは、次回へ。
 この便覧の特徴は、冒頭に Synopsis of Contents (viii-xviii) が配置され、全体を概観するに原理である点である。各項目の内容が 100~150 words 程度で示されている。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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