国家神道とキリスト教

 明治以降の近代日本キリスト教思想を研究していて常に気になる問題に「国家神道」の問題がある。日本キリスト教研究にとっての国家神道・天皇制の意義を強調したのは、土肥昭夫であったが、この視点は、一個人の研究者のものではなく、広く共有すべきものと言うべきであろう。
 とすれば、国家神道をめぐる思想史研究の成果は、日本キリスト教研究において参照されねばならないもののはずである。こうした点で、重要な研究は少なくないが、ここではまず次のもの(最新のものではないが)を挙げておきたい。

山口輝臣
『明治国家と宗教』
東京大学出版会、1999年。

はじめに
  一 国家神道という整理
  二 「国家と宗教」という課題
  三 本書の構成と概要

第一部 一九世紀──宗教の生成/「国家と宗教」の制度化
 第一章 一九世紀日本における宗教成立
  一 宗教渡来
  二 「邪仏比較」
  三 キリスト者の語り方──文明・道徳・学術
  四 キリスト者の語り──その背景
  五 キリスト者の語り方とその批判者
  六 キリスト者によるもうひとつの語り方
  七 キリスト者のもうひとつの語り方における宗教
  八 仏教者の語り方──文明・学術・日本
  九 仏教者によるおもうひとつの語り方
 一〇 キリスト者・仏教者以外の語り方──文明・学術・道徳
 一一 宗教の定着とそこからの離脱──神社非宗教論の生成

 第二章 伊藤博文の憲法調査
 第三章 キリスト教公許構想と教導職の廃止
 第四章 教皇使節の来日
 第五章 「神社改正之件」の成立
 第六章 明治憲法の制定

第二部 二〇世紀へ──宗教の変容/「国家と宗教」の転形
 第一章 二〇世紀日本における宗教の変容
 第二章 神祇官設置運動と「神社改正之件」  
 第三章 古社寺保存・社寺上地林還付・神祇官設置
 第四章 宗教法案の不成立と神社局・宗教局の成立
 第五章 「神社改正之件」の崩壊

 第六章 神社合併と三教会同
  一 神社合併以後
  二 神社非宗教論以後
  三 古社寺保存法・社寺上地林関連法以後
  四 宗教法案以後

おわりに

あとがき

人名索引
事項索引

 博士学位論文がもとになった充実した歴史研究である。本ブログの観点から言えば、これを政治哲学・政治神学またキリスト教思想と関連づけるとどうなるか、ということがさらに問われることになるだろう。日本キリスト教にとって国家神道をめぐる問題が決定的な意義を有しているとの同様に、近代日本を理解するにもキリスト教が重要なポイントとなること、これが確認すべき点である。なお、章以下の区分については、第一部第一章と第二部第六章以外については、省略した。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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