日本の組織神学を振り返る4

<組織神学の輪郭>

 1946年に出版された北森嘉蔵『神の痛みの神学』は、日本のキリスト教思想を代表する著書の一つであることには多くの研究者が賛成するものと思われるが、この著作は、神学諸学科に区分で言えば、いかなる研究領域に属すると言うべきであろうか。『神の痛みの神学』は、聖書学的側面を有し、また歴史神学という評価も可能であろう。では、組織神学でどうだろうか。わたくしの見解では、『神の痛みの神学』は聖書、歴史における素材を「神の痛み」という視点において統合している点で、組織神学と言いうるというものであるが、この判断は適切であろうか。

 こうした議論が生じるという点に、まさに組織神学の問題性が潜んでいる。『日本神学史』(ヨルダン社、1992年)の第2章「一九〇七年(明治四〇年)─一九四五年(昭和二〇年)」で、佐藤敏夫は、「組織神学」について、大塚節治、桑田秀延、菅円吉、熊野義孝、宮本武之助を挙げているが、大塚と宮本については、組織神学の理解に仕方によっては、組織神学者と見做しうるかについて、かなりの疑問が生じるであろう。学科としての組織神学を明確に画くには範囲を絞る込むのが得策であり、大塚や宮本は別の分類が適切ということになるだろう。また、組織神学をその現実の学的性格に合わせて理解するには、他の諸学科との相互交流が議論できる程度に広めに捉えるのがよいだろう。

 本ブログでは、組織神学をやや広めに設定するという方針を採用することにしたい。組織神学においては、それが使用する資料という観点から言えば、関連する広範な専門分野がもたらす知見(聖書はもちろん、キリスト教史の事象、宗教史文化史の知識、現代思想・現代世界の動向など)を用いて議論がなされると考えることにした。こうした組織神学の理解については、ティリッヒ『組織神学』第一巻(序論のDの8「組織神学の資料」)を参照。
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