近代日本の宗教・教育・国家

 近代日本におけるキリスト教を論じる上で、重要になるのは、近代日本を宗教、教育、国家といった問題連関の中で、実証的にキリスト教を位置づけることである。こうした作業を基盤となる、重要な研究成果が近年、次々と刊行されてきており、研究の基盤を次第に整いつつある。こうした研究成果の一つを紹介したい。
 東京大学(宗教学宗教史学講座)に提出された博士学位請求論文を基礎に刊行された本格的な研究である。国体・国家神道といった問題を理解する上でも、参照すべき文献と評すべきであろう。

前川理子
『近代日本の宗教論と国家──宗教学の思想と国家教育の交錯』
東京大学出版会、2015年。

第1章 序論 宗教学の戦前思想をたどって
  1 本書の課題──先行研究をふまえて
  2 視点と方法
  3 用語と本書の構成

I 宗教の新理想と国民教育への展開
 第2章 井上哲次郎における宗教と国民道徳
   第1節 帝国憲法と教育勅語──宗教を論じる前提
   第2節 「倫理ノ大本」から「倫理的宗教」まで
   第3節 「国民道徳概論」──国家主義から国体主義へ
   第4節 穂積八束・吉田熊次の国民道徳論

 第3章 姉﨑宗教学と「新宗教」の探索 人格修養・宗教的情操・英雄崇拝
   第1節 宗教の「批判的建設」時代
   第2節 宗教的倫理運動の展開 
   第3節 人格修養から人格「感化」の宗教論へ
   第4節 超宗教的「新宗教」の実践

 第4章 宗教学者の国家論とその周辺 普遍的新宗教と国家的要請
   第1節 加藤玄智の国家的神道論──国体化する人格感化教
   第2節 大川周明の日本精神論──世界文明総合の使命
   第3節 上杉慎吉の皇道論とその実践
   第4節 国体的宗教論の諸相

II 国体論の時代と宗教学思想
 第5章 宗教教育論の帰趨 第一次世界大戦期から教学刷新の時代まで
   第1節 課題と対象
   第2節 宗教教育導入論の台頭と背景
   第3節 宗教教育協議会から文部次官通牒へ
   第4節 教学刷新評議会・教育審議会──国体明徴運動以後
   第5節 小結

 第6章 国家教学と宗教学思想の相克 国体論と人格主義をめぐる
   第1節 国体論と正統教学
   第2節 狭隘化する国体論・天皇論──加藤玄智と井上哲次郎の昭和
   第3節 排撃される人格主義──大川周明と上杉皇道論の昭和

 第7章 結論 近代日本の宗教論の彷徨

あとがき
文献
事項索引
人名索引
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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