『福音と世界』から

『福音と世界』2015.7(新教出版社)が届きました。いつものように、簡単に内容を紹介いたします。

特集:戦後70年の教会と神学1
 「戦後70年」は、日本キリスト教にとって単なる時間的な区切り以上の意味を有しています。さまざまな場面で「戦後70年」が問われている通りであり、それには現在の日本の状況が重大な局面にさしかかりつつあるとの意識が共通されていると言ってよいでしょう。『福音と世界』でも、「戦後70年」の企画が7月号から開始されました。『福音と世界』の場合、単にそれぞれの分野における70年の業績を整理し分析するだけではない意図があるものと思います。実は、わたくしも、8月号に掲載予定の「組織神学」の部分を担当しています。7月号では、それぞれの分野をまさに代表するにふさわしい顔ぶれの研究者による「戦後70年」の議論で、具体的な研究者や書名に多く言及した読み応えのある内容です。わたくしは、それとはやや異なる観点からの「戦後70年」論になっています。戦後70年の組織神学を具体的な業績を詳細に辿るという体裁になっていませんが(その意味での情報については、別の所を参照するようにとの書き方になっていますので、知識を学ぶ上ではあまり役に立たないかもしれません)、どうでしょうか。関心のある方はご注目ください。

・「戦後の新約聖書学がより残したこと」(八木誠一)
・「戦後日本の旧約聖書学の歩み」(山我哲雄)
・「キリスト教史学の展開と課題──戦後の歴史神学をたどりつつ」(出村彰)

 三人の方の論考を拝見して、こうした書き方がよかったかとも、やや反省しているところです。まあ、すでに校正も終わりましたので、もはや手遅れですが。

次に、連載(ほんの一部ですが)へ。
・一色哲「南島キリスト教史入門」9
 「迫害と苦難を越えて 読谷山教会にみる南島キリスト教の深化(1)」

「二〇世紀の初頭にはさらに周辺の農村へと拡大することになる。当時の農村での生活形態は都市とは違い、質的に違った難儀があった」(60)。
 舞台は、読谷村です。
 日本キリスト教の農村への関わりは、批判的にしかし共感的に描くべき研究テーマであり、それは、十分に取り組まれていない研究領域として、しかし、近代日本を批判的に論じる上で決定的な意義を有する研究領域として、残されている。だれが、この研究領域を切り開くのだろうか。研究者の層の薄さはここにも表れている。

・内田樹「レヴィナスの時間論」:「『時間と他者』と読む4」
「世界を放棄することによって世界を再獲得するというアイディア」現象学的還元」
そして議論は「ヨブ」へ。
が9)。「この「不在」の数え上げを終わりなくなしうるものが最も学的に厳密な主体である」(50)。

・来住英俊「宣教学・事始め3」、「(3)宣教Aは節滅危惧種である」

 宣教A:「イエスの御名を知らせる」活動
 宣教B:「社会を福音化する」活動
 「イエスの御名を知らせる宣教活動は、ある教会では「絶滅危惧種」です」(45)

 この議論をどう理解するか。  

 今回から、次の連載が始まりました。
・今高義也「柏井園伝略 歿後九十五年に寄せて(上)」

 歿後、生誕、出版といった時点からの区切りのよい時期を焦点にして、さまざまに記念し思い起こす、という作業はいったいどこからはじまったのか、その意義はどこにあるか。商業主義や政治的利用ではない、意義。後数年で宗教改革五百年となるわけであるが、どのようにこの五百年を意識化してこれを迎えるのか、重要な問題かもしれない。
 ティリッヒも今年で歿後五十年、何かしたほうがよいだろうか?
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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