ヤスパース研究から

 哲学がキリスト教思想と緊密な関係にあることは、古代から現代まで変わることない事柄である。現代哲学に登場する哲学者もキリスト教思想にとってさまざまな問題連関で重要な位置を占めている。こうした哲学者の一人がヤスパースであり、キリスト教思想を論じるに当たって、ヤスパース研究の動向にも無関心ではいられない。
 こうした中で、新しいヤスパースの研究書が邦訳された。以下に紹介したい。なお、邦訳者である、岡田聡さんは、ヤスパースで博士号(早稲田大学)を取得し、著者であるシュスラー(トリーア大学神学部)のもとで研鑽を積んだ若手研究者であり、現在、日本学術振興会特別研究員PDとして、京都大学キリスト教学研究室に所属している。

ヴェルナー・シュスラー
『ヤスパース入門』
月曜社、2015年。

日本語版へのまえがき

序章 哲学の「自己忘却」
第一章 哲学と来歴
第二章 科学と区別される哲学
第三章 宗教と区別される哲学
第四章 哲学の根源──限界状況
第五章 哲学の方法──超越
第六章 哲学の本来の「対象」(一)──実存
第七章 哲学の本来の「対象」(二)──超越者
第八章 哲学の根本知──包括者論
第九章 哲学の真理
第一〇章 哲学と進歩──技術
第一一章 哲学と権力──政治
第一二章 哲学の歴史
終章 世界の中の哲学

文献一覧
ヤスパース略年譜
訳者あとがき
人名索引

 シュスラーは、ドイツのティリッヒ研究を代表する研究者の一人であり、ティリッヒに関して優れた複数のモノグラフと編著を刊行し、また何よりも、ティリッヒ著作集(MainWorks)の編集者の一人である。しかし、シュスラーはヤスパース研究にも大きな関心を示し、すでにその研究成果を公にしている。わたくしも、ティリッヒ研究の関連で、シュスラーの研究をこれまで参照してきたものとして、今回の邦訳を通じて、ドイツにおける現在のティリッヒ研究の最前線の状況への関心が高まり、日本におけるヤスパース研究に寄与することを期待したい。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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