日本における「宗教と科学」

 「宗教と科学」は本ブログの主要テーマの一つであり、現代キリスト教思想の中心テーマでもある。これは、まだ蓄積は少ないものの、近代日本という文脈においても問題としても設定可能であって、日本の文脈における議論を展開するには、その全体像を把握することが必要になる。
 全体像の把握の基礎になるのは、関連する文献などのデータベースの構築、資料収集であるが、それとともに、研究のイメージを共有する上で有用になるのが、関連する主要な思想家からアンソロジーを作成することである。現在、テンプルトン財団の研究助成を受け、南山宗教文化研究所を拠点に、「科学と宗教との対話(Science Religion Dialogue)」プロジェクト(共同研究)が進められつつあるが、このアンソロジーの出版もテンプロトン財団の出版助成によるものとのことである。

金承哲、T・J・ヘイスティングスほか編
『撰集 任大日本における宗教と科学の交錯』
南山宗教文化研究所、2015年。

交錯する宗教と科学
「宗教と科学」をめぐる言説の再構築(金承哲、T・J・ヘイスティングス)

I 「南蛮の妖術」を馴化する
解題(長澤志穂、日沖直子)
 耶蘇を排す(林羅山)、狂医之言[抜粋](杉田玄白)、沼山対話[抜粋](横井小楠)ほか

II 西洋科学のインパクトと宗教の再編
解題(島田雄一郎)
 宗教と科学との関係(鈴木大拙)、仏教と進化論(一端)(清沢満之)、宗教と科学(内村鑑三)ほか

III 神秘をめぐる葛藤
解題(永岡崇)
 科学の力(出口王仁三郎)、妖怪学講義(井上円了)ほか

IV 交錯する科学と宗教
解題(村山由美)
 ベルグソン以降の進化論と目的論(賀川豊彦)、新興宗教を発展させた医学(岡田茂吉)ほか

V 宗教哲学の成熟と科学
解題(金承哲)
 カトリシズムの自然観─真理の秩序の問題(吉滿義彦)、科学と禅(西谷啓治)、科学と宗教との交互媒介的制約(田辺元)

VI 科学の脅威と宗教思想
解題(粟津賢太)
 足尾鉱毒問題(田中正造)、科学者と宗教(永井隆)、科学者の社会的責任(唐木順三)ほか 

VII 科学と社会との交錯
解題(粟津賢太)
 江戸時代における儒者の科学観(中山茂)、生物進化論に対する日本の反応─明治期のアウトライン(村上陽一郎)、現代科学技術の倫理的批判と超越性─唐木順三と武谷三男の論争の意義(島薗進)

資料
 原漢文・古文
 第一回パダウォッシュ会議声明
 出典一覧
 
 編集後記(粟津賢太) 

 以上、本アンソロジーに収録された資料をすべて紹介することは出来なかったが、問題の広がりを把握することは十分に可能であろう。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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