『図書』より

『図書』(9. 2015)が届きました。いくつかのエッセイを紹介します。

・日野原重明「日本点字図書館と本間一夫」
「日本の点字図書館事業は「西のライトハウス、東の日本点字図書館」を拠点に発展してきたといって過言ではありません」(2)から始まるエッセイ。「今年の秋、日本点字図書館をは開設七五周年という記念すべき時に、あわせて創始者本間一夫氏の先端百年の記念日を迎えます。心からの祝意をお伝えしたいと思います。」(2)
 日本ライトハウスの創始者「岩崎武夫」(日野原さんのおとうさんと岩崎武夫とは関西学院における繋がりとのこと)と本間一夫との関西学院を介した出会いから、日本点字図書館の開設、日野原さん自身の日本点字図書館との関わりへと話は進み、最後に「点字の普及と発展のために」で結ばれます。

 このような事業に関わる七五周年には、大きな重みを感じざるを得ない。点字と言えば、京都に住む者としては、「京都ライトハウス」(千本北大路)を思い出すことになる。日本におけるキリスト教の忘れてならない働きは、こうした地道な取り組みこそあらわれている。

・「座談会」「いま、近世史を語る」
 2015年に岩波新書「シリーズ日本近世史」(全五巻)が刊行され、その執筆者となった研究者による座談会。京都大学大学院文学研究科で研究科長/学部長をされた藤井譲治先生がいわば司会の役となっています。

 近世史は、キリシタン問題を含む時期であり、キリスト教研究の視点からも注目すべき時代です。

・高村薫「作家的覚書」、今回は「自らに問う」(49)です。
「支持率がせめて二割台にまで下がらなければ、三百議席を有する与党を抑止するのはやはり難しいということである。」
「世論調査では八割の人が法案について説明不足と答えながら、かくも重大な法案についてまともなせ説明ができない政権に、私たちはなぜ四割もの支持率を与え続けているのか、と。」「矛盾であり、不作為であり、認識の怠慢」
「現政権の不作為を黙認した上で、私たちは支持をしているのか。大人から学生まで、ほんの数秒手を止めて、自分に尋ねてみてほしい。」

 昨日は、京大の西部講堂で、「自由と平和のための京大有志の会」主催の「「安保法制」反対集会」が開催された。わたくしも、西部講堂に溢れる人々の一人となった。高校生や大学生が、しっかりと自らの意見を述べる姿に、大学での運動の広がりに、大きなうねりを感じる時であった。
 問題は、これがあたかもなかったかのように9月になり時が過ぎようとしていることである。現代の西欧社会が生み出した世論形成装置としてのマスコミの威力はいまだ健在ということであろうか(甘く見るな)。支持率は四割を回復し、二割台の夢はやや遠のいた。支持率についてその多様な要因(そこには世論調査という客観性を装った仕組みが含まれる)を徹底分析し、そこから現在動いている膨大な動向の構図を明確化することができる専門集団が必要と思われる。それに、「安保法制」以後を構想することをも視野に入れた困難な作業を考えるとき、希望・可能性はどこにあるだろうか。

・高橋陸郎「哲学4 アリストテレスと詩の復権」

 詩人をめぐるプラトン(『国家』)とアリストテレス(『詩人について』)のコントラスト。「絶対的に善でも悪でもない」(63)から別にして、詩人・詩をテーマ化したことは、アリストテレスの功績である。現代的には、詩は倫理と区別されつつも、むしろ倫理に先行し倫理を生み出す人間の構想力の場である。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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