キリスト教思想と経済2

 キリスト教思想と経済という問題は、さまざまなアプローチが可能である。資本主義を社会主義の側から批判的に論じることも当然あり得るが、現在の資本主義に関する批判は、より資本主義に近いところからも、しかも根本的な視点から行うことも重要な問題提起となる。こうした発想を進める上で注目すべき思想家の一人として、ラスキンを上げることができると思われる。
 今回は、ラスキン自身の経済思想の代表的な著作と、ラスキンの経済論の現代的評価を考える上での文献の二つを紹介したい。

ラスキン『この最後の者にも・ごまとゆり』中公ブックス、2008年。

「ターナー擁護者から先駆的なエコロジストへ──ラスキンの生涯と作品」(富士川義之)

この最後の者にも──ポリティカル・エコノミーの基本原理にかんする四論文
 序文
 第一論文 栄誉の根源
 第二論文 富の鉱脈
 第三論文 地上を審判く者
 第四論文 価値に従って

ごまとゆり
 一八八二年版への序
 第一講 ごま──王侯の宝庫について
 第二講 ゆり──王妃の庭園について

年譜 

 表題の「この最後の者にも」は、有名なぶどう園の労働者の譬えからの言葉であり、ラスキンは聖書的な経済論を展開しているという解釈も可能である。ラスキンとキリスト教との関わりはやや複雑であるが。

伊藤邦武『経済学の哲学──19世紀経済思想とラスキン』中公新書、2011年。
まえがき

序章 忘れられた思想家──ラスキンの時代と生涯

第一章 ポリティカル・エコノミーの歴史
  1 古代ギリシアの経済思想
  2 アダム・スミスから
  3 ジョン・ステュアート・ミルまで
  4 功利主義とロマン主義

第二章 ラスキンの経済論
  1 『この最後の者にも』
  2 ミル批判
  3 リカード批判
  4 古代ギリシア的発想の復活

第三章 「きれいな空気と水と大地」の方へ
  1 風景の真理と倫理
  2 文化と気候変動
  3 風景と時間──ラスキンとプルースト
  4 深いエコロジーと名誉ある富

あとがき


関連年表
索引

 ラスキンは、経済と環境という本ブログのテーマにまさに直結する思想家である。これが現代、ラスキンが注目される理由の一つである。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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