日本キリスト教思想史研究、方法論6

 前回は、評伝研究の意義を論じた。評伝研究は、歴史的な資料の細部にわたる収集、実証的な分析を基礎とするものであり、繰り返し新たな研究によって更新される必要がある。また、その点で一次資料から資料集などという形でのデータ収集にも隣接しており、こうした広がりにおいても、日本キリスト教思想研究は、次のような古典的と言える研究を有している。

・佐波亘編『植村正久と其の時代』全五巻、補遺・索引、新補遺、教文館、1937年(2000年)。
 これを言わば補完するものとしも、『植村正久夫人 季野がことども』が1943年(2000年)に刊行されている。これらは、評伝の基礎となる同時代の状況に関わる資料も含めた基礎資料集的な意味が強い。

 また、優れた内村鑑三の評伝研究として、次のものがあげられる。
・関根正雄『内村鑑三』清水書院、1967年。
・鈴木範久『内村鑑三の人と思想』岩波書店、2012年。また、資料集としては、『内村鑑三日録』(全12巻、教文館、1998-1999年)が基礎的。

 なお、評伝的研究を含めたいわゆる歴史的(社会史的)研究は、その特性上、微細データの新発見をめざす傾向が強い。その傾向のみが追求されるとき、思想史研究とはしだいに乖離し、一部の研究者サークル内でのみ意味をもつ閉じた研究になる(それに客観的データを装った主観的な解釈が加えられるとき、とんでもない研究にもなりかねない)。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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