ハーバーマス2

 1990年代以降のハーバーマスにおいて注目すべきは、ポスト世俗化時代という時代認識を伴う、宗教への積極的な言及であり、宗教思想にとっても参照すべき内容が確認できる。
 こうした点で、まとまった議論が確認できるのは、たとえば、次の論集である。

ユルゲン・ハーバーマス
『自然主義と宗教の間 哲学論集』
法政大学出版局
2014年(原著2005年)。

序文

第一部 規範に導かれた精神の間主体的なあり方
  第1章 公共空間と政治的公共性 二つの思想的主題の生活史的ルーツ
  第2章 コミュニケーション的行為と理性の脱超越論化 友人トム・マッカーシーの還暦を祝って
  第3章 討議と差異化の建築術 大きな論争への小さな返答

第二部 宗教的複数主義と国家公民的連帯 
  第4章 民主的法治国家における政治以前の基礎
  第5章 公共圏における宗教 宗教的市民と世俗的市民の「公共的理性使用」のための認知的諸前提

第三部 自然主義と宗教
  第6章 自由と決定論
  第7章 「確かに私自身が自然の一部である」──理性の自然との絡み合いについて語るアドルノ
        自由と自由処理不可能性との関係についての考察
  第8章 信仰と知の境界 カントの宗教哲学の影響史と現代的意義によせて

第四部 寛容
  第9章 宗教的寛容 文化的諸権利のペースメーカー
 第10章 文化的な平等な取り扱い──そしてポストモダン・リベラリズムの限界
 第11章 複数主義的世界社会のための政治的体制

訳者あとがき
初出一覧

人名索引
事項索引

 ハーバーマスは、自らのそれまでの哲学的思惟を前提としつつ、キリスト教思想(ティリッヒやモルトマンなど)に対する対話可能な議論を展開している。彼は依然として自然主義の立場に立っているが、それは、グリフィンの言う「弱い自然主義」というべきものである。
 哲学的には、カント論は面白い。
 翻訳の問題は、特に第5章が中心。
 複数主義という訳語も適当。
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