徳倫理学とキリスト教思想

 現代のキリスト教思想においては(も)、倫理的な諸問題は、中心的なテーマとして位置づけられる。そのテーマは、生命倫理、環境倫理、情報倫理など多岐にわたっており、倫理思想一般の展開を参照しつつ、研究と教育において、積極的な取り組みが行われている。その際に重要になるのは、多岐にわたる諸テーマについて、一貫した議論の展開を可能にする倫理的な基礎理論である。現代の倫理思想では、分析哲学やカント哲学など、基礎理論についてもいくつかの学説が有力なわけであるが、その一つとして注目されるのが、徳倫理学である。
 キリスト教思想では、ハワーワスは徳倫理学の系譜に関連したキリスト教倫理思想の代表者として挙げることができる神学者であり、日本でも、本ブログでもしばしば紹介の東方敬信さんの著作はその成果と位置づけられる。
 しかし、キリスト教思想を徳倫理学という視点から展開するにしても、問題は徳倫理学自体である。この徳倫理学についての現代の議論を知る手掛かりとなる文献が刊行されたので、以下に紹介したい。

加藤尚武、児玉聡編・監訳
『徳倫理学 基本論文集』
勁草書房、2015年。

凡例
第一章ニーチェ──価値の再評価 (フィリッパ・フット)
第二章 現代倫理理論の統合失調症 (マイケル・ストッカー)
第三章 美徳と悪徳 (フィリッパ・フット)
第四章 道徳的聖者 (スーザン・ウルフ)
第五章 相対的ではない徳──アリストテレス的アプローチ (マーサ・ヌスバウム)
第六章 古代の倫理学と現代の道徳 (ジュリア・アナス)
第七章 功利主義と徳の人生 (ロジャー・クリスプ)
第八章 徳倫理学と情動 (ロザリンド・ハーストハウス)
第九章 徳と正しさ (ロバート・ジョンソン)
第十章 目的論、アリストテレス的徳、正しさ (S・D・ワルシュ)

監訳者解説 (加藤尚武)
事項索引
人名索引

 監訳者である加藤先生の詳しい解説が付されており、それを手掛かりに読み進んではいかがであろうか。ともかくも、アリストテレスはキリスト教思想にとって重要な思想家である。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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