『福音と世界』から

『福音と世界』2016.1(新教出版社)が届きました。月刊誌の世界では、すでに新年号ですが、いつものようにタンタンに内容を紹介いたします。

今回の特集は、「聖書とエコロジー」です。
 前回で戦後70年をめぐる特集が終了しましたが、71年目のスタートは、エコロジー・環境です。Cop21も終わり、この特集には、象徴的な意味が込められているのかもしれません。環境問題の根底には、人口問題があり、それは、表層的にも深層的にも、政治と経済の問題です。とすれば、それは当然の聖書の思想的な問いとなります。この点を、今年度後期の講義(京大の特集講義と東大の集中講義にて)では追求してみました。日本のキリスト教は、この問いをどの程度共有しているのでしょうか。

・「「キリスト者であること」と「エコであること」──エキュメニカルな視座から見るエコ神学」(藤原佐和子)
・「プロセス神学の観点から環境問題を考える」(郷義孝)
・「震災とアジア学院──放射能被害からの教訓」(荒川朋子)
・「原子力発電には妥当性があるのか?──エコロジー経済学と社会的公正の視点から」」(和田喜彦)
・「『讃美歌21』と環境問題」(吉岡光人)

 新年号にふさわしいフレッシュな視点からのエコロジーの神学。こうした論考が広く共有され、現実の環境政策を動かすようになる、これは初夢でしょうか。

次に、連載(ほんの一部ですが)から。
一色哲「南島キリスト教史入門」15
 「引き継がれる祈り ハンセン病療養所と宮古島のキリスト教」

 「全般的に活発な伝道が行われていた南島のなかで、宮古島では戦前期を通して具体的な教会形成は行われてこなかったと考えられている。」(70)
 「このような状況下でも「甦生会」はひろまなかったというが、宮古への空襲の激化と戦後の混乱により、同会は事実上解散状態となった。」
「宮古島に求められた救いは、戦前においては、この南静園のなかにあった。そして、そこでの祈りは、次第に広がりを見せており、戦時中の中断(潜伏?)はあったが、戦後へと引き継がれ、園外にも広がったいった。」(73)

 「引き継がれる」は、世代を超える生命の営みとも言える動きであり、それを含めた「生の現象学」を構想してはどうだろうか。そのポイントは、本ブログでもメモとして示す予定である。

内田樹「レヴィナスの時間論」:「『時間と他者』と読む10」
 「長い予備的考察に一応区切りを付けて、今回から『時間と他者』の精読という本来の仕事に取りかかる。」(52)
まず、レヴィナスの文章を、「数行の解釈に数十頁の紙数を投じる」という仕方で、「聖句」に準じたものとして扱うという今後の方針について、その「解釈ルール」が論じられる。「具体的なものを通じて象徴を富裕化すること」「豊かな解釈」
 次に、『時間と他者』を精読対象として選んだ理由が示される。
 「レヴィナスの時間論は抽象的な思弁ではない。まさい「実人生」から振り絞られた言葉なのである。」

 というわけで、いよいよ、『時間と他者』の精読が開始される。

来住英俊「宣教学・事始め9」、「(9)宣教Aの仕事を分業する」

「この四つの仕事の中で要石になるのは、私の考えでは(3)です。つまり、しっかりしたキリスト教入門講座を多くの場所に設けることです。」(62)

 入門講座の大切は、その通りであるが、それをどのように機能させるかが問題である。それには、「分業」を制度設計し動かす機構が必要である。

 今回は、以上のほかに、次の文章が掲載された。
・「韓国神学の新たな潮流 『オン神学 キム・ミョンヨン』(上) 翻訳テグネ」
・「精神の自由を貫く──「君が代」裁判とは何か」(並木浩一)
 力強いメッセージである。
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