大学改革の中での、新しい授業の試み

 本日から、京都大学も年末年始の休暇に入り、事務室や生協なども休みになる(研究にとっては休みはあまり関係ない。実際、雑用は年末年始に関わりなく存在する)。キャンパスには学生の姿もまばらになる時期である。

 この数年来、運営費交付金の削減が継続的に続く影響が、教育現場にも現れつつある。研究室の予算がじわじわ少なくなるのはそうとしても、困るのは、非常勤講師の雇用が制限され、さらに退職者の後任補充ができないことにより、専修単位でのカリキュラム編成が困難になりつつあることである。これは文学研究科のすべての専修に共通の問題であり、いずれ限界線を越えるような予感もある。
 限界線の前で、当然それぞれの専修はさまざまな工夫を行っている(リンドバーグ助教を英語授業担当・再配分枠で雇用し、専修の演習も担当いただいているのもそうである)。わたくしの属するキリスト教学専修においても、この数年来、授業について、新しい試みを行っている。
 一つは、宗教改革演習を、半期をさらに前半と後半に区分して、7週ずつで、英語とドイツ語でのテキストを読む演習を行っていることである(当初は7週で、演習になるかとの心配もあったが、大学の学年歴の改革ではクォーター制という案も浮上し、7週というのも必ずしもありえないことではなくなってきている)。これは、2017年の宗教改革500周年を前に、従来手薄であった宗教改革関係の授業を強化すると共に、ODの学生に非常勤講師として機会を提供することも意図したものである(従来は、一人で半期をお願いしていたのが7週ずつ二人。系のリレー講義の経験者にお願いするというシステムを組んでいる)。
 もう一つは、大学内のほかの研究科の教員に学内非常勤をお願いするというものであり、今年度から、人間環境研究科から河崎靖先生に授業担当をお願いしている(河崎先生は、大阪市立大学文学部依頼の知人であり、一緒に研究会をおこなったことがある)。内容は、ドイツ語のキリスト教思想テキストについて演習であり、今年度はボンヘッファーについての演習をいただいた。ドイツ語をご専門の先生であり、ドイツ語自体のレベルアップにもなるはずである。テキストの準備など行き届いた演習を行っていただいており、そのテキストが次の著書となって出版された。

河崎靖
『ボンヘッファーを読む──ドイツ語原典でたどる、ナチスに抵抗した神学者の軌跡』
現代書館、2015年11月。

 河崎先生には、来年度も、演習をお願いしている。

 そして、最近、開講していなかった「講読」(学部生向け・2回生から)を2016年度から再開する。日本語でキリスト教思想の古典を読むという方針で、半期で一つのテキストを読むことをめざしている。キリスト教学に関心をもつ学生を広げる試みである。

 そのほかにも、まだ工夫の余地はある。しかし、こうした工夫が限界に達したときに、京都大学文学研究科自体が大きな決断をせざるをえないということも決して夢物語ではない。そうならないように、運営費交付金と定員の削減には歯止めが必要である。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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