『福音と世界』から

『福音と世界』2016.2(新教出版社)が届きました。では、簡単に内容の紹介を行います。

今回の特集は、「聖書と文学」です。
 文学の定義にもよりますが、「聖書」を文学という仕方で理解することは可能であり(関根正雄『旧約聖書文学史 上下』岩波書店)、その意味では「聖書と文学」という組み合わせは当然のこととも言えます。しかし、近代的学の枠組みでは、思想、歴史、文学は別の、しばしば分離された学問領域として捉えられており、その結果、聖書研究では「文学」が十分な意味で視野に入れられるようになったのは、比較的最近のことです。ともかくも、「聖書と文学」は現在においては重要なテーマであり、日本でも、たとえば、「聖書と日本文学」といった研究が進展することが期待されます(ややハードルが高いとも思われますが)。

・「聖書はどこにあるのか」(若松英輔)
・「多様な読みを楽しむ──文芸批評的アプローチ」(水野隆一)
・「贖いの力と生きる勇気──小説『ギレアド』について」(宇野元)
・「キリスト教文学はキリスト者のものか」(柴崎聰)

 「聖書と文学」というテーマは奥が深い。さらなる掘り下げを期待したい。

次に、連載(ほんの一部ですが)から。
・一色哲「南島キリスト教史入門」16
 「「周縁的伝道知」の形成と喜界島のキリスト教(Ⅰ) ホーリネスの伝道者・兼山常益の軌跡」

 「「周縁」地域の歴史を論じる意義」(60)
 「南島伝道圏の「周縁性」を考えることは、南島伝道圏の日本伝道圏からの自律性を検証し、そこから独自性を導き出すことにつながってくる。」
 「ひとつの『周縁』は、他の『周縁』に最も近い」
 「教会や信徒・伝道者もまたそのような帝国外縁部を往還する過程で、周縁的経験を積み、そこでの苦難を受けとめる知恵を「周縁的伝道知」として蓄積していったと考えることはできないか。」
 喜界島とキリスト教、兼山常益の出郷とキリスト教との出会い、東京から朝鮮半島へ、信仰の変化と兼山の召命、大島・喜界伝道の開始、「神癒」の体験と台湾伝道

・内田樹「レヴィナスの時間論」:「『時間と他者』と読む11」
 「解読に先立っていくつかのローカル・ルールを定めておく」
 「ルールその一。「周知のように」という言葉を使わない。」
 「ルールその二。「わからないこと」はそのまま「わからない」と書く。」
 「ルールその三。途中まで行ってから「前に書いたあれは間違いでした」という前言撤回をする(こともある)。」
 「読解仮説」:「この講演をしたときにレヴィナスはフランスユダヤ人共同体の霊的再構築という歴史的課題を背負っていたということ」、「600万同胞の死を引きずりながらポスト・ホロコーストの時代を生き続けるためには、空間的には「そこにないもの」が(まさしくその欠如を通じて)存在するとは違う仕方で私たちに生々しく切迫してくるという仮説を「希望の時間論」というかたちで語ることがレヴィナスに要請されていた。」
 「第一節「〈実存すること〉の孤独」」
 「孤独とはさまざまな実存者があるという事実そのもののうちにある。」
 「孤独が超克される状況を考想すること、それは実存者とその実存することの間の絆を吟味してみることである。」
 「・・・存在論的事況に向かって進むこと・・・この事況を〈位相転換〉と呼ぶ・・・これを経由して、実存者は実存することと関係を取り結ぶのである。」
 
 問題は、この絆と位相転換にある。 

・来住英俊「宣教学・事始め10」、「(10)イベント企画の場合──とことん、やる!」

 議論は、宣教AとBをめぐるテーマから、具体的な問題へと進みつつある。
 「一般社会にキリスト教についての知識を普及させる。」(50)
 「クリスマス・コンサートや講演会の開催」
 入門講座の大切は、その通りであるが、それをどのように機能させるかが問題である。それには、「分業」を制度設計し動かす機構が必要である。

 今回は、以上のほかに、次の文章が掲載された。
・「韓国神学の新たな潮流 『オン神学 』(下) キム・ミョンヨン(金明容) 翻訳ナグネ(洛雲海)」
  1月号の(上)に続く、後半です。
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