『図書』から

『図書』(2016.2)が届きました。目に付いたエッセイを紹介します。

・宮下志朗「原稿へのあこがれを写本で癒やす」
 「では現代では、つまち電脳の二一世紀はどうだろうか。手書き原稿のスタイルを墨守する作家は、絶滅危惧種に近い」、「こんなわたしが、原稿・手稿への思慕の念をいかにして満足させているのかといえば、中世に、「写本」の時代に戻ることによってである。」

 わたくしは、「手書き」という作業を行うことは実際きわめて稀になって久しい(修士論文は手書きであった。記憶のためのメモは今でも手書きである)。たしかに、原稿作成のスタイルが思考の流れとの関連があることはある程度感じられることであるが、自分では、今、ブログに文章を入力しているスピードがちょうど良い気がしている。キリスト教にとって写本は学問の基礎・原資料であるが、それを扱えるのは、専門家中の専門家である。

・西平直「草の根のつながり──ブータン調査の一コマ」
 「すべての旅には偶然が伴います。今回はこんなことがありました。
 話は五年前に遡ります。第三回ブータン調査(京都大学共同研究)の時、私たちは・・・」

 読んで印象に残る文章です。

・竹内由子「吉野作造のヨーロッパ政治史講義」
 「宗教と政治をめぐって、吉野のデモクラシー観に一端を示す事例」
 「国家統合に関する二つの視座」

・三浦佳世「キリコの「どこか変」なわけ」
 「若き日のキリコは手品師のように、絵の中にさまざまなトリックを仕掛けた」

 キリコについて久しぶりに絵の分析を読んだ。

・高村薫「作家的覚書」:「一年の計」
 「メディアの言説に踊らされず、政治家のたちの言動に対して軽々しく騒がず語らず、人間の営みを見つめて言葉を研ぎ澄ませ、黙って選挙に行くのだ。」
 「一つ、もう読むことはないだろう書籍と資料の処分」
 「一つ、水泳を始めること」

 思想の基盤は身体であり、・・・だから「水泳」・・・。考えすぎか。

『図書』で必ず目を通すのは、「岩波書店の新刊」のPRの部分である。今回は、岩波現代全書として、深井智朗さんの『パウル・ティリヒ──「多く赦された者」の神学』の案内が掲載されていた。最近、一段と幅広く研究を展開しつつある研究者によるティリッヒ研究。おそらく、ひと味違ったティリッヒが描きだされるものと期待される。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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