『福音と世界』から

『福音と世界』2016.3(新教出版社)が届きました。では、簡単に内容の紹介を行います。

今回の特集は、「聖書と暴力、そして平和」です。
 「戦争・暴力と平和」は、現代のキリスト教思想あるいは宗教思想の中心的問いの一つであり、繰り返し議論がなされてきた(わたくしも、このテーマで4月に講演を行うことになっている)。その点では、こうしたさまざまな取り組みをも視野に入れ、今回の特集を論じることが必要かもしれない。今回の特集は、このテーマを「聖書」との関わりで論じるものであり、まさに基本からの議論と言える。そして、女性という視点も、特徴としてあげられるであろう。

・「旧約聖書における暴力と平和──旧約聖書は戦争をどう物語っているか」(石川立)
・「聖戦と平和──聖書に脈打つ平和のベクトル」(矢口洋生)
・「女たちの哀歌」(渡邊さゆり)
・「イエスと非暴力──非暴力実践としての「癒し」」(志村真)
・「女性への暴力、その現状と支援──矯風会ステップハウス・松浦薫さんに聞く」
                 (インタビュー・まとめ 編集部)

 

次に、連載(ほんの一部ですが)から。
一色哲「南島キリスト教史入門」17
 「「周縁的伝道知」の形成と喜界島のキリスト教(2) 磐井静治の帰還と旧日基の伝道」

「日本における近代化には光と影がある。そして、「民衆」と呼ばれる人びとの大半は、近代化の理不尽と矛盾を象徴する「影」の部分を負わされてきた。そのような「影」が最も色濃く表れているのが、日本帝国の周縁部分である南島、それに、植民地等の「外地」であった。・・・この地域に「民衆キリスト教の弧」が形成されていたと考えている。前回述べた「周縁的伝道知」は、その「民衆キリスト教の弧」を構成する核心の一つである」(62)。
「喜界島の旧日基の伝道」「磐井静治」
「在台時代から教会建設以降に至る時期に、磐井は、長男、長女、孫、次女と、肉親を失う不幸に見舞われる。また、キリスト教に対する地域の厳しい目もあった。しかし、彼を核とする信徒と求道者たちのみによる営みは、一〇年以上におよんだ。」(64)
一九五六年には、先述の通り、福井二郎牧師が赴任し喜界教会が再開される。福井もまた、戦前・戦中に、熱河伝道などを経験した牧師である。」(65)

民衆史の構成は、確実に成果を現しつつある。

内田樹「レヴィナスの時間論」:「『時間と他者』と読む12」
 「「実存者なき実存」」「というたいへん難解な箇所に行き当たる」、「読者の多くは」「ここで挫折して、この薄い本を読み終える意欲を失ったのではないかと思う。」
 「「ああ、あのことね」と言ってぽんと膝を叩いて得心する、というようなことはハイデガーやレヴィナスの用いる哲学用語についてはありえない。」(48)
 「この「わかっていないことについても、なんとなくわかっている」という過渡的・中間的な様態を、ハイデガーはおそらくは人間の知性の本質だとみなしていたのだと思う。」(50)
 「ハイデガーの独創は、神を「<実存すること>を十全に所有している実存者」ではなく、「<実存する>という動詞」に見立てる点にあった。」
 「レヴィナスはまさにこのハイデガーの「最も深遠な」考想を認めたあと、いきなり、それには「深さが足りない」と否定するところからその講演を始めるのである。」(51)

 人間と神との間の関係を「部分対全体」「不完全対完全」「被造物対創造者」といったわかりやすい・空間的表象に還元しないこと、なるほど。そこで、「存在者」と「存在」の存在論的差異・区別。空間的ではなくてもこれも一つの表象のレベルに位置づけられるものとしたらどうなるか。

来住英俊「宣教学・事始め11」、「(11)いといろな人が関わる」
 「チームの中で役割を引き受ける」「講和と話し合い」「祝い、リクレーション」

 経験ある者には、よくわかる話ではある。

 今回から、辻学さんの新連載「新約釈義 第一テモテ」が始まりました。釈義シリーズを毎回読みということはあまりないのですが、随時、参考にさせていただきたいと思います。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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