聖書学の動向

 本ブログは、自然神学の議論を社会科学へ拡張するために、聖書解釈・聖書学を媒介とするという方法論を採用している。当然、新しい聖書学の動向は、日頃から気に掛けている問題の一つである。
 今回取り上げるのは、日本における新約聖書研究者による「手引き」であり、参照できる文献と思われる(海外の出版社ではよく行われる企画である)。

浅野淳博、伊東寿泰、須藤伊知郎、辻学、中野実、廣石望、前川裕、村山由美
『新約聖書解釈の手引き』
日本キリスト教団出版局、2016年。

序論: 廣石望

第1部 生成するテクスト
第1章 本文批評: 前川裕
  A.方法論の概説
  B.方法論の適用例
  本章で言及した文献・さらなる学びのために
 (このA、B、参考文献といった構成は、各章同じであり、以下省略)

第2章 資料・様式・編集: 辻学

第2部 コンテクストとしての社会
第3章 社会史的研究: 須藤伊知郎
第4章 社会科学研究: 浅野淳博

第3部 コミュニケーションとしてのテクスト
第5章 修辞学批評: 廣石望
 (この章の最後に、「修辞学批評用語集」(山田耕太 作成)が収録されている。) 
第6章 物語批評: 伊東寿泰
第7章 スピーチアクトの分析: 伊東寿泰

第4部 解釈の自己点検
第8章 文化研究批評: 村山由美・浅野淳博・須藤伊知郎
 (この章では、フェミニスト批評、ポストコロニアル批評が取り上げられている。)
第9章 正典批評: 中野実

付録 新約聖書と関連文を読むための基本ツール: 辻学

あとがき: 浅野淳博

執筆者紹介

 50代以降の新約聖書研究者による「手引き」であり、これから(あるいはすでに)日本の新約聖書学を担ってゆく顔ぶれによる充実した論考が収録されている。第3部と第4部は、これまでの日本の聖書学では十分に論じられてこなかった分野であり、この「手引き」の特徴となっている。
 この「手引き」は、「あとがき」を担当している、浅野淳博さんが研究代表となり、今年度までの三年間に行われた「解釈学の転換:新約聖書解釈における新たな地平の探究と総合的な批評学援用の模索」(科研、基盤研究(C))プロジェクトの研究成果である。この共同研究のメンバーに、前川、村山の両氏を加えて、この「手引き」は企画されたわけである。また、この研究プロジェクトは、2017年度から刊行予定の新約聖書注解シリーズ(NTJ)に繋がるものであるとのことです。
 
 なお、この研究プロジェクトのメンバーによる公開シンポジウムが開催されますので、関東近辺の方は、出席されてはいかがでしょうか。入場無料ですが、申し込みは、日本キリスト教団出版局・出版第一課(03-3204-0457, shoseki2@bp.uccj.or.jp)まで。
 シンポジウム:新約聖書の読み方
 日時:2016年3月5日 10時~12時
 会場:日本聖書神学校 202教室

 日本の新約聖書学研究も、これから面白くなるか、大いに期待したい。 
 
  
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Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、今後開設の別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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