『図書』から

  『図書』(2016.3、岩波書店)が届きました。
 今月号には、特に、キリスト教思想研究に関わるものはないと思いますが、次のものは、印象的なエッセイで、聖書にも触れています。

山口佳巳「ミミズをもっと尊敬しよう」
 「これらの「Kenji」の言葉、・・・・・・かつて私が言葉をめぐってあれこれ漫然と調べ事をしていたときに偶々目にして思わず仰け反ったことでもあるのだが、ヘブライ語旧約聖書では「方舟(teva)」という語が「言葉(teva)」と同じ単語であることからして・・・・・・彼らの言葉は、ヘブライ語旧約聖書の「テーヴァ」と偶然の回路を介して木霊を交わし合っていたかのようであり、さらに言葉を蔑にし続けている現代社会への目覚めをラディカルに促すメッセージにもなっているだろう。」(9)

 タイトルからは一見何を論じたエッセイがわからない文章ではあるが(ミミズはダーウィンに関係しているが)、このエッセイで取り上げられているのは、3・11の大震災後に「災害情報ワイドショー化」した首都圏メディア(その後あたかも過去の出来事であったかのような態度。福島原発事故はまだその収束の仕方も見えないにもかかわらず)に対して、不特定多数の宮澤賢治敬愛者たちが「Kenji」という同じ名前で自然発生的に立ち上げたブログである。
 「方舟=言葉」ということは掘りさげるべき問題である。

高村薫:「作家的覚書」
 今回は、「デジタルクローンの傍らで」
 「そんな欲望の追求にひた走る世界がある一方、シリア難民が着の身着のまま欧州に逃げ続け・・・」、「・・・加えて、中国の景気減速と原油安に苦しむ産油国が世界経済を不安定にしており、平和や繁栄はいま、世界のどこを見渡しても影をひそめているのだが、それでもAIやクラウド・コンピューティングの進化だけは止まる気配もない。人間の営みの、完全に方向性を失ったこの分裂は、文明にとって危機的ではないか。」(37)

 経済状況への分析は別にして、危機への感覚は鋭い。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、今後開設の別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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