学際的アプローチによる「復活」

 キリスト教思想研究でも、さまざまな研究領域の専門家が集まって、共同研究を行うことが、めずらしくなくなった。特に、国際的な場面ではそうであり、その研究成果も、多く出版されてきている。今回紹介するのは、最近邦訳がなされたものであり、テーマは「死者の復活」という問題であり、自然科学から人文科学までさまざまな専門領域からの議論がなされている。

T.ピーターズ、R.J.ラッセル、M.ヴェルカー編
『死者の復活──神学的・科学的論考集』
日本キリスト教団出版局、2016年。

序論: 来るはずのもの (テッド・ピーターズ)

第一部 復活と終末論的信頼性
1 体の復活、終末論、ならびに科学的宇宙論:キリスト教神学と科学の相互作用 
  (ロバート・ジョン・ラッセル)
2 神学的現実主義と終末論的象徴体系 (ミヒャエル・ヴェルカー)
3 終末論の信頼性: 創発的で目的論的なプロセス (ジョン・ポーキングホーン)
4 進化から終末論へ (ジェフリー・P.シュロス)

第二部 体の復活と人格の同一性
1 聖書と復活 (フランク・クリューゼマン)
2 霊的な体についてのパウロの概念 (ペーター・ランペ)
3 ルカにおける体の復活 (ハンス=ヨアヒム・エックシュタイン)
4 古代エジプトにおける復活 (ヤン・アスマン)
5 虫けらにとっての希望:初期キリスト教の希望 (ブライアン・E.デイリー)
6 終末論と復活に関するシュライアマッハーの見解 (ベルント・オーバードルファー)

第三部 復活と自然法
1 神が記憶を与える: 神経科学と復活 (デトレフ・B.リンケ)
2 サイバネティックス的不死 対 キリスト教的復活 (ノリーン・ヘルツフェルド)
3 復活の体と人格の同一性: 終末論的知識の可能性と限界 (ナンシー・マーフィー)
4 キリストの姿に変換されて: 同一性、人格、そして復活 (アンドレアス・シューレ)

第四部 復活、新しい創造、そしてキリスト教的希望
1 時間の流れの中の記憶と復活の概念 (デイルク・エヴァース)
2 新しい生命への復活: 終末論的変転の聖霊論的含意 (ギュンター・トーマス)
3 復活、有限性、そして生態学 (エルンスト・M.コンラデイ)
4 復活:概念的挑戦 (テッド・ピーターズ)

寄稿者

訳者あとがき (小河陽)

 本論集は、「訳者あとがき」にあるように、2001年にハイデルベルクで開かれた国際フォーラムの成果の出版である。「宗教と科学」というテーマに関心のある者にとっては、著名な目にすることが多い研究者が、論集に名前を連ねており、また神学の側からも専門家が寄稿している。このハイデルベルクにおける国際的な共同研究は、その後の形を変えて継続され、本ブログでもすでに紹介した、次の論集が最近刊行されている。

Michael Welker (ed.),
The Depth of the Human Person. A Multidisciplinary Approach,
Eerdmans, 2014.

 こうした共同研究の問題点は、科学者の最新のお話を人文系の研究者が聞くという構図からなかなか脱せない点にある。実質的な双方にとって実りある共同研究になるには、ともかくも、地道な積み上げが大切であり、それを可能になる研究体制が存在することが前提になる。
 しかし、思想研究もこうした方向に着実に向かいつつある。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、今後開設の別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR