平和思想のネットワーク

 本ブログも、締めくくりの時期を迎えているわけであるが、いくつかのテーマについて、まとめを行ってみたい。現在考えているのは、次のものである。

・平和思想のネットワーク(平和論・戦争論)
・経済神学の文献整理
・政治神学の文献整理

 今回は、まず「平和思想のネットワーク」から。
 近世以降のキリスト教とそれに関連した思想領域においては、さまざまな思想家が平和をめぐる重要な思索を残しており、本ブログでもさまざまな思想家を取り上げてきた。こうした中で気づくことは、近世・近代以降、特に20世紀になって、平和の問題は、広範な思想家が取り組んでいると共に、それが緩やかな影響関係のネットワークを形成している点である。
 たとえば、トルストイを一つの起点にして、ロマン・ロラン、ガンディー、内村鑑三、キング牧師と思想の繋がりが容易に辿ることができる。平和思想は単発的な思想表明に止まらない実在性を有するに至っていると言うべきであろう(同様に、中世・宗教改革期には、寛容思想のネットワークが、都市から都市へと形成されていた=寛容のネットワーク。これが宗教改革とさまざまな仕方で交差しているのである)。
 
 まず、トルストイから。
 トルストイは、ロシア文学を代表する文学的巨人であり、三大長編『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『復活』をはじめとした文学作品こそが、トルストイを論じる際にははずすことができない。しかし、トルストイは、キリスト教思想家、教会批判者という面においても、論じるに値する人物である。
 たとえば、「愛と無抵抗主義」と題されたガンディーへの書簡(川端香男『トルストイ』講談社、所収)は、短い文章ながら、キリスト教思想における平和・戦争論の矛盾をするどく捉えている。また、アナーキズムとも評される共同体論・民衆論も再評価が必要であろう。
 そして、この思想は、ほかの文脈に位置するさまざまな平和思想に繋がっていったのであり、それは、日本にも及んでいる。

 わたくしは、4月13日(水)に、京都大学公開講座・春秋講義(京都大学百周年時計台記念館・百年記念ホール)において、「「戦争と平和」の時代とキリスト教」というテーマで、公開講義を行うことになっているが、このテーマで念頭にあるのは、トルストイである。
 これから、トルストイをロシア語で読むというのはまったく無理な話ではあるが、もう少し、時間的に余裕ができれば、ロシア語でトルストイやドストエフスキーの作品のさわりの部分くらいは、読めるようになりたいものである。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

LogosOffice

Author:LogosOffice
 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、今後開設の別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation(自動翻訳)
FC2カウンター
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR