平和思想のネットワーク2
前回の「平和思想のネットワーク」を取り上げましたが、もう一人の文豪に注目したいと思います。今回は、ロマン・ロラン(1886-1944)です。ロマン・ロランは、ヒューニスト・平和主義者として、ムッソリーニ(ファシズム)に反対した反戦作家として著名であり(日本の軍国主義への批判も行っている)、その交友はまさに平和思想のネットワークと言うべき広がりをもっています(当然、日本におけるファンも多く、わたくしの記憶では、京都の銀閣寺の近くに「ロマン・ロラン研究所」が存在している/いた、と思います。学生時代の記憶です)。
ロマン・ロランは、長編『ジャン・クリストフ』をはじめ多くの作品を残し、かなりの日本語訳が存在するが(みすず書房の全集など)、わたくし自身の印象に残るのは、もう一つの長編『魅せられたる魂』(1922-33)であり、革命と戦争を歴史的背景とした小説です。わたくしがロマン・ロランを読んだのは、高校生から大学生(理学部時代)という遙か昔のことであるが(手元にある『魅せられたる魂』は10巻本の岩波文庫であり、購入に日付が、1977年になっいる)、その印象は鮮やかに残っている。
反ファシズムということは、特に小説の最終部分で明確になる。主人公アンネット・リビエールの息子マルクが亡命ロシア人アーシャと結婚しファシストによって殺害されるという展開である。
「行きなさい、あたしの娘! 闘いに行きなさい! それはマルクのためです。彼の代わりに闘いなさい、彼が望んでいたことのために、彼ができなかったことのために!あたしたちの主義のために!」(10巻/82頁)
この主義が、社会主義・平和主義であり、それは、ネットワーク(「世界の魂たち」)として、アーシャらを通して広がってゆく。
そして、この小説のもう一つのテーマは、「生と死」である。
「西洋では、永生ということを念慮におかない者が多い。しかし私たちのうちの誰も──本当に生きる人々は、永遠と交換して、一日、一時間の活動でも抛棄する者はないであろう。」(10/150)
「「魅せられたる魂」の周期が完成する・・・・・・彼女はひとつの曲り角に、空間に架けられた梯子のひとつの環だった。登ってくる足が彼女を踏み砕きながら上る時に、段は廻りながらしっかりしている。そこで「主」は弓形に張った体を伝って深淵を渡る。彼女の生涯のすべての苦しみは「運命」の前進の曲り角であった・・・・・」(10/197)
「さようなら、アンネット・・・・・・今や私は了解した。"Nunc dimittis....." 『今おんみは去る・・・・・・』(新約聖書ルカ伝第二章)」
「そこからは銀河が流れ出て、夜に頸飾りをかけ、諸世界の蛇のような、「存在」の鐶を「無限」の牧場にくりひろげる・・・・・」(10/198)
ここで、生と死は、川(リビエール)と海(メール)のイメージとなる。
ロマン・ロランは、長編『ジャン・クリストフ』をはじめ多くの作品を残し、かなりの日本語訳が存在するが(みすず書房の全集など)、わたくし自身の印象に残るのは、もう一つの長編『魅せられたる魂』(1922-33)であり、革命と戦争を歴史的背景とした小説です。わたくしがロマン・ロランを読んだのは、高校生から大学生(理学部時代)という遙か昔のことであるが(手元にある『魅せられたる魂』は10巻本の岩波文庫であり、購入に日付が、1977年になっいる)、その印象は鮮やかに残っている。
反ファシズムということは、特に小説の最終部分で明確になる。主人公アンネット・リビエールの息子マルクが亡命ロシア人アーシャと結婚しファシストによって殺害されるという展開である。
「行きなさい、あたしの娘! 闘いに行きなさい! それはマルクのためです。彼の代わりに闘いなさい、彼が望んでいたことのために、彼ができなかったことのために!あたしたちの主義のために!」(10巻/82頁)
この主義が、社会主義・平和主義であり、それは、ネットワーク(「世界の魂たち」)として、アーシャらを通して広がってゆく。
そして、この小説のもう一つのテーマは、「生と死」である。
「西洋では、永生ということを念慮におかない者が多い。しかし私たちのうちの誰も──本当に生きる人々は、永遠と交換して、一日、一時間の活動でも抛棄する者はないであろう。」(10/150)
「「魅せられたる魂」の周期が完成する・・・・・・彼女はひとつの曲り角に、空間に架けられた梯子のひとつの環だった。登ってくる足が彼女を踏み砕きながら上る時に、段は廻りながらしっかりしている。そこで「主」は弓形に張った体を伝って深淵を渡る。彼女の生涯のすべての苦しみは「運命」の前進の曲り角であった・・・・・」(10/197)
「さようなら、アンネット・・・・・・今や私は了解した。"Nunc dimittis....." 『今おんみは去る・・・・・・』(新約聖書ルカ伝第二章)」
「そこからは銀河が流れ出て、夜に頸飾りをかけ、諸世界の蛇のような、「存在」の鐶を「無限」の牧場にくりひろげる・・・・・」(10/198)
ここで、生と死は、川(リビエール)と海(メール)のイメージとなる。
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