学会、そして出版

 現在の学問研究という営みにとって、学会という組織に所属すること、そして著書や雑誌などにおいて出版社と関わることは、いわな不可欠のものであり、長年、研究を続けてくると、さまざまな学会や出版社とお付き合いすることになる。
 昨日は、昨年から本格的に始まった、日本基督教学会による『キリスト教大事典』の刊行に向けた編集委員会のため、上智大学を訪れ、午後から半日一杯、会議を行った。この事典の出版実務作業を担当いただくのが、教文館であり、これは、典型的な、学会と出版社との関わりである。
 
 以上は、現在の学問研究において研究者が置かれる典型的な場面である。しかし、10年度の長さで考えてみても、この状況は大きく変化せざるを得ないようにも思われる。学会が、研究者にとって魅力的な研究の場であり続けられるか、あるいは出版社を通した著作刊行が研究発表のい独占的とも言えるルートであり続けられるか、これらは、いずれも、自明ではない。

 ここに介在しているのが、ITによる研究の現場の大きな変容である。学会が主催する学術大会における研究発表は、研究者の研究業績であるだけでなく、研究者の相互交流の場として存在している。しかし、ITは、学術大会以外でも、しかしもかなり多様な仕方において、研究者の相互交流に場を提供しつつある。インターネットにおける活動に特化した学会は当然あり得るものであり(研究会レベルではすでに現実である)、こうした新しい試みは、既存の伝統的な学会と棲み分けを行いつつ、広がっていくであろう。その際に、既存の学会は、その存在意義を改めて問われることになるであろう。
 また、著書や論文の刊行発表については、電子出版・電子ジャーナルという動向は、押しとどめ得ない仕方で進展するであろう。一定的の質のものを手軽に公にできる、しかも安価であり、さらにそれが研究業績として通用する(これが重要なポイントである)、となると、どんな将来像が描けるだろうか。ここにおいても、既存の紙媒体の出版は、ITとの棲み分け・提携が問われることになる。

 今回の、『キリスト教大事典』の事業は、こうした近未来の動向の中で、進められることになる。いずれにせよ、これからが長い、やりがいのある道のりになるであろう。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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