「政治の神学」の古典としての南原繁2

 今回は、南原の「政治の神学」として中心的に取り上げられることになるテキスト、つまり、『国家と宗教──ヨーロッパ精神史の研究』について、その目次と序(ポイント)を示しておきたい。

岩波文庫版(2014年)の『国家と宗教──ヨーロッパ精神史の研究』(初版・1942年)。
凡例
改版の序
第三版序


第一章 プラトン復興
   一 時代の問題
   二 新プラトン像の性格
   三 神話の解釈
   四 プラトンの批判的意義

第二章 キリスト教の「神の国」とプラトンの理想国家
   一 プラトン理想国家の問題史的意義
   二 キリスト教出現の意味と神の国の根本性質
   三 二つの国の綜合の類型=トーマスとヘーゲル
   四 問題の批判的解決への途

第三章 カントにおける世界秩序の理念
   一 哲学の課題
   二 世界秩序の道徳的および宗教的基礎
   三 世界秩序の組織原理
   四 歴史の理念

第四章 ナチス世界観と宗教
   一 近代ヨーロッパ精神の展開
   二 ナチス精神とその世界観的基礎
   三 ナチス世界観における宗教理念
   四 ヨーロッパ文化の危機の問題

補論 カトリシズムとプロテスタンティズム

南原繁年譜
解説1(福田歓一)
解説2(加藤節)

<『国家と宗教』序より>
1.「改版の序」(1958 年)
「ある時代またはある国民が、いかなる神を神とし、何を神性と考えるかということは、その時代の文化や国民の運命を決定するものである。敗戦日本の再建は、この意味において、日本国民のそれまで懐抱して来た日本的精神と思惟の革命の要請であったはずである。」
「そこには、かえって旧い精神の復興の徴候はないか。真の神が発見されないかぎり、人間や民族ないし国家の神聖化は跡を絶たないであろう。」
「おしなべて、宗教の問題に対する近代的思惟は不幸な過程をたどって来た。十九世紀の実証主義的合理精神とその継承発展であるマルクス的経済唯物史観とは、宗教に対して無関心または否定の精神にほかならない。」(5)
「技術や経済的物質が神聖の座を占め、やがて宗教的代用物の役割を果たすようになるのである。」
「自然科学と技術文明の驚くべき威力」「現代政治の不安と恐怖」「絶対兵器の出現の前に、人類の存在自体が問われている」
「近代の過渡的反立の時代を経て、現在人類が直面するに至った政治的限界状況において、われわれは宗教的確信や信仰から何を導き出し得るであろうか。」
「文化闘争」「世界観闘争」(6)
「宗教と国家との関係の問題は、ヨーロッパ精神史の上に、最も純粋な形において展開された」(7)

2.「第三版序」(1945 年)
「問題は依然として「宗教」と「国家」──広く「文化」との関係であり、この難問の理論的解決についても、著者の見解を一層詳しく論述した。それ故に「補論」は、決して単なる補論ではなく、むしろ全体の「緒論」であり、同時に「結論」でもあるのである。読
者はまず初めにこれを読まれるのも一つの順序であろう。」(10)
「日本にとって省察すべき根本の問題は実に「宗教」の問題、そしてそれと国家との関係に凝縮せられてあると言っていい。少なくともヨーロッパ精神史との関連において「キリスト教」が問題になる場合、これをいかに解決すべきであるか。」
「わが国が平和日本として真に世界史的民族たるの使命を自覚し、新しい精神と新日本文化の創造と、それを通して東亜はいうに及ばず、広く世界人類に寄与する上において、いくばくかの示唆を供し得んことは、純学術的労作の背後に隠された著者の目的でもある。」(10-11)

3.「序」(1942 年)
「全体を貫いて根本の問題が国家と宗教との関係」
「西洋政治理論史研究」
「ヨーロッパ文化の始源」
「プラトン『国家論』」「ギリシャ国民国家の伝統に立ち還る」
「ギリシャ国民の宗教的久遠の救済」
「キリスト教の出現」(13)
「二者の綜合ないし結合」「それ以後のヨーロッパ精神世界の根本問題」
「カント」「キリスト教的人間観と世界観が、客観的な科学的認識と不変の道徳的根拠に立てられたもの」「国家・社会および歴史の全体にわたってキリスト教的精神が展開せられるに至った基礎を形づくるもの」(14)
「ヨーロッパ文化の新たな転回の志向」(15)
「国家の問題は、根本において全文化と内的統一を有する世界観のも問題であり、したがって、究極において宗教的神性の問題と関係することなくしては理解し得られないというのが、著者の確信である。」(15)
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