平和思想のネットワーク6

 久しぶりに、「平和思想のネットーワーク」に記事を追加します。記事の最後のあたりで触れる予定ですが、久しぶりに、この記事を書くのは、今回の熊本地震のインパクトを受けてのことです。震災の只中におられる方々に、平安と平和のおとづれをお祈りいたします。

 平和思想というと組織だった平和運動のようなものとの関わりなどを連想する人も少なくないかもしれない。しかし、平和思想が実際に平和の基盤になるためには、特定の集団や立場に限定された範囲を超えること、文化のさまざまな領域に浸透し根付く必要がある。これは、キリスト教思想における平和思想の場合も同様である。このように考えると、宗教との関わりは別にして、日本にも、広範な人々の目に触れる優れた平和のメッセージの存在に気づくのではないだろうか。
 
 人は、人生の中で、いくつかの段階で、「子ども」時代に触れることになる。一つは、自分自身の子ども時代である。そして、もう一つは、自分の子どもの子ども時代、つまり、自分にも子どもが生まれ、その子どもの子ども時代を親も共有する時期である。幼児期から小学生ごろまで、子育ての中で、子ども文化(テレビ・アニメ)に精通する時期を過ごす、こんな経験は、多くの親が体験することかもしれない。しかも、子どもがその子ども文化を離れた(卒業?)後も、親の方がその文化との関わりを継続することも、十分にあり得ることと思われる(優れた子ども文化は、「子ども」を省いても、実に優れている)。
 
 わたくしの場合は、こうした例として思いつくのは、「ジブリ」の一連のアニメ作品である。ここから、本題であるが、「ジブリ」の作品において目立つメッセージの一つは、反戦平和であり、これは、初期の作品から、近年ものまで、いわば一貫して感じられる。
 「風の谷のナウシカ」、「天空の城ラピュタ」、「紅の豚」、「ハウルの動く城」、「コクリコ坂から」、「風立ちぬ」まで、戦争は物語の背景・前提・舞台として設定され、物語全体からそれに対する批判が感じられる(描写と台詞において)。
 「風立ちぬ」は、零戦の設計者である実在の「堀越二郎」(堀越二郎『零戦 その誕生と栄光の記録』角川文庫、『零戦の遺産 設計主務者が綴る名機の素顔』光文社NF文庫)をモデルに、技術者の美しい夢(飛行機は美しい夢である)と戦闘機として戦争に巻き込まれる現実(呪われた夢、殺戮の道具になる宿命)との対比が通奏低音として流れている。この対比は、現代に置き換えれば、原子力(原爆と原発)などにおける「デュアル・ユース」問題に絡んでくる。

 このテーマに、文明(開発)と自然(環境)の対立、自然の関わりにおける人間の成長などのモチーフを結びつければ、ジブリ作品のほとんどすべてが、視野に入ってくる。こうした作品の基本形は、「風の谷のナウシカ」(懐かしい「子ども」時代の)にあると言えようか。

 さて、「コクリコ坂から」(2011年夏・ロードショウ公開)であるが、今回の熊本地震(阪神大震災級)で、阪神淡路大震災そして東日本大震災を思い出した。「津波」の光景を介して、連想されたのが、「コクリコ坂から」の終わりに近い部分、カルチェラタンの存続が決まった場面で歌われた次の歌である。

紺色のうねりが
のみつくす日が来ても
水平線に 君は没するなかれ

われらは 山岳の峰々となり
未来から吹く風に 頭をあげよ

紺色のうねりが
のみつくす日が来ても
水平線に 君は没するなかれ

 この歌詞が、東日本大震災の津波を思い起こさせること、また宮澤賢治と関わりがあることなど、ネット上では話題であった。
 「君は没するなかれ」!
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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