『図書』から

『図書』(2016.5、岩波書店)が届きました。以下、簡単に紹介したいと思います。

藤井譲治「変化する「昔と今」」
「今の大学生にとって「今」は、どの時代であろうか。・・・私にとっての「今」の前半は、もはや「昔」に属してしまっているのでは。」
「研究課題を見出そうとするときの「現在」との違いを意識しつつ、自分自身にとっての「今」とは何かを改めて考えている。」(1)

 藤井先生といえば、わたくしは、文学研究科長という姿を思い浮かべることになるが、「歴史」という問題意識に関しては、同様の感覚について理解できるように思われる。キリスト教思想に関しても、「現在」とはいつか、は小さな問題ではない。おそらく、「時間」に関する掘りさげた議論が必要なのではないだろうか。

小野紀蔵「京都、ニヒリズムの路地」
「いささか旧聞に属するが、B・B・キングがこの世を去ったときに日本の某新聞に載った、ある追悼の文には失望した。」

 エッセイは、キングから、京都、路地、韓国ソウル、そして鴨川・・・へと続いてゆくが、わたくしの印象に残ったは、B・B・キングと京都という結びつきであった。B・B・キングの逝去は、最近思想界をリードしてきた何人かの人々の死ともに、記憶に残る出来事であったが、キングと京都・路地という組み合わせはきわめてしっくりくるものがある。キングは大阪だと言う人もいるかもしれないが、京都も悪くない。ある時期の京都は、キング、ブルース、ジャズが路地に溶け込んでいた。この雰囲気が消え去ろうとしているのは、京都ブルーノートが閉店し、奈良に移転したことからも、感じられる(わたくしは、奈良のブルーノートにはまだいったことがないが)。

 今回は、以上のほかにも、興味深いエッセイが掲載されているが、時間関係で省略。
 最後は、いつもの、次の文章。

高村薫「作家的覚書」:「アメリカのいま」
「大統領候補を決める予備選挙に沸くアメリカ」
「何よりも衝撃的なのは、長らく民主主義国家のお手本だったアメリカの政治がいま、アメリカ国民の眼に公正なものと映らなくなっているらしい、という事実である。」(43)

 このアメリカの変化、そして世界の変化が、日本では感じ取られているか。ここに問題があるように思われる。「変化」がかなり偏向した仕方で伝えられていないか。それは、マスコミのあり方によるのか。日本の大学改革の方向性は、世界の変化に適切に応じたものなのか。アメリカの変動を軽く見てはいないか。
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