『学術の動向』から

『学術の動向』 2016. 5 (日本学術会議)が届きました。今回の特集1は、歴史教育がテーマです。歴史教育は現代の争点の一つであり、歴史研究者のがんばってが期待されるところです。二つの特集に収録された論考のタイトルは、以下の通りです。

【特集1】歴史教育の明日を考える─「授業・教科書・入試」改革に向けて─
・「歴史教科書をどう書き換えるか?──ジェンダーの視点から」(三成美保)
・「高校歴史教育のあり方をめぐって──「世界史」非履修問題表面化以来の日本学術会議の取組(久保亨)
・「制度の壁か思考の壁か?──暗記オンリーでない歴史の試験をめざして」(桃木至朗)
・「「問いとともに考える」世界史へ」(小川幸司)
・「「『慰安婦』問題」を一般教養講義で語る/取り組むために」(長志珠絵)
・「戦後70年目の「慰安婦」問題──何をどのように若い世代に伝えるのか」(小浜正子)
・「ドイツの歴史教育とホロコーストの記憶文化」(姫岡とし子)

【特集2】情報システムの利活用による農業の産業競争力の向上
・「極限状態を想定した超節水精密農業技術の開発」(澁澤栄)
・「農業の産業競争力強化のための情報創造・流通促進線楽」(神成淳司)
・「農業分野におけるICT活用の可能性」(島津秀雄)
・「農業ロボットの社会実装に向けた課題と展望」(野口伸)
・「適正な農業実践(GAP)の基礎としての精密農業」(Josse de Baerdemaeker)
・「まとめと今後の展望」(伊東正一)

 いずれの特集も、現代日本の置かれた状況を反映している。特集2の「農業」の問題は、おそらく、TPPが日本農業にもたらす大変動に無関係ではないであろうし、特集1は、まさに現代日本の教育がせめぎ合っている問題を扱っている。日本学術会議の性格がある意味で示されているようにも思われる。
 一方に、歴史修正主義の圧力が存在しており、歴史教育はかなりピンチに陥っている。しかし、慰安婦問題への誠実な取り組みの模索も存在している。これが、日本における「歴史」教育の状況であり、キリスト教もその中に位置するはずである。
 特集1の「ジャンダー史」からの世界史教科書の書き換え提案は興味深い。具体的な書き換え提案が詳しい表によって示されており、議論はかなり深まっているように思われる。宗教史においても科学史においても、ジェンダー的視点は不可欠である。しかし、日本のキリスト教研究において、こうした研究態勢はきわめて未成熟と言わねばならない。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、今後開設の別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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