『図書』から

『図書』 2016. 6(岩波書店)が届きました。
 キリスト教研究の観点などから紹介します。

・石毛直道「食養生の文明と文化」
 「世界のすべての民族の文化において、食べることを通して健康を保ち、長生きしたいという願望が認められるだろう」。
 「民族文化の枠をこえて食事に関する健康観に影響をあたえてきたのが、人生のあり方を説く、宗教文明や宗教思想である」。

 このエッセイは文化人類学的な観点からの食事・健康・文化・宗教についてのものであり、キリスト教やイスラームについても、簡単な言及がなされている。実際、「食と宗教」はキリスト教研究においても本格的な議論があってしかるべきテーマであり、関連する問題は無数存在する(イエスの宗教運動の「神の国」と開かれた食卓、というテーマはもちろん)。
 問題は、表面的な事例研究を超えて、いかに議論を深めうるかであろう。

・柄谷行人「山人の動物学」
 柳田國男が取り上げられるのは、当然であるが、「山人」論は、ここから先が実はおもしろいはず。柳田で満足しないのは、マニアックすぎるか。

・斎藤美奈子「文学的すぎる解説は戦争には負ける」
 『永遠の0』は知らないが、このエッセイの題目は、いろいろと想像を刺激する。「戦争文学」というテーマは取り組んでみるべきものかもしれない。しかし、「読者への吸引力でも、読者の数でもね」という論点は、どうなのだろうか。

・高村薫「作家的覚書」:「失われたもの」
 「地震や火山の活動期に入ったと言われるいま、この国では故郷の風景も家も暮らしも、永遠に変わらずにいられるものは何ひとつない。そのことを、このたびの熊本地震でまたも突きつけられながら・・・」(43)

 おそらく、聖書の詩人たちは、ここから思索をさらに遠くまで進めていったのだろう。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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