近代キリスト教と政教分離

 今年度の京都大学における特殊講義では、これまでの自然神学とその拡張というテーマについて、まとめを行いつつある(次のテーマへの移行のため)。作業としては、まとめつつ、補足を行い、議論を深めるということになるが、補足文献として、取り上げ散るものの一つが次のものである。

和田守編
『日米における政教分離と「良心の自由」』
ミネルヴァ書房、2014年。

序章 政教分離と信教の自由をめぐって (和田守)

第Ⅰ部 宗教と政治のあいだ
 第1章 アメリカ植民地時代の宗教と政治──マサチューセッツとコネチカット (小倉いずみ)
 第2章 初期アメリカにおける政商分離──マサチューセッツを中心に (大西直樹)
 第3章 神話と現実──合衆国における政教分離 (デイヴィッド・ホール、大西直樹訳)
 第4章 近代日本における政教分離──国家神道体制と信教の自由 (和田守)

第Ⅱ部 政教分離の展開
 第5章 アメリカのクリスマス──政教分離の問題 (大西直樹)
 第6章 アメリカの移民政策と〝WASP〟──見えざる「国体」をめぐって (五味俊樹)
 第7章 天皇制国家と信教の自由──立憲政治の展開を通して (和田守)

第Ⅲ部 宗教と政治の現在
 第8章 「宗教と政治」の現在──政治理論の視点から (千葉眞)
 第9章 カナダに独自な政教分離の試み──憲法と教育制度 (加藤晋章)
 第10章 戦後日本の政教分離と靖国問題 (千葉眞)

あとがき
人名・事項索引

 アメリカと日本の政教分離の問題について、歴史をたどりつつ、現代の問題状況まで射程に入れた、重要な論集である。アメリカを論じる際に、そのメインテーマがキリスト教になるのは当然ではあるが、日本に関しても、内村鑑三、海老名弾正と吉野作造、南原繁まで議論に登場する。第3章は、内容は思想史研究というべきものであるが、タイトルの「神話と現実」は、政教分離という観点からの日米比較の理論的基礎として、追求すべきものある。わたくしは、歴史的思想史的研究にも興味があるが、こうした理論的議論を掘りさげるべきと考えている。
 なお、アメリカと日本、政教分離と言えば、先行研究に入るべき、阿部美哉『政教分離──日本とアメリカにみる宗教の政治性』(サイマル出版社)への言及が見られないのは(索引と注の文献に関して)、なぜだろうか。専門領域相互の連携欠如の表れだろうか。
 冒頭でのべた特殊講義は、6月14日の授業で、「近代世界と政教分離」を論じる。配付資料の<参考文献>は、次のようになっている。

1.芦名定道・小原克博 『キリスト教と現代世界─終末思想の歴史的展開』世界思想社。
2.大澤麦・澁谷浩訳 『デモクラシーにおける討論の誕生─ピューリタン革命におけるパトニー討論─』聖学院大学出版会。
3.リンゼイ(1964)永岡薫訳 『民主主義の本質─イギリス・デモクラシーとピューリタニズム─』未来社。
4.大木英夫 『ピューリタン』中公新書、『ピューリタン──近代化の精神構造』聖学院大学出版会。
5.浜林正夫 『イギリス宗教史』大月書店。
6.野田又夫 『ロック』講談社。
7.加藤節 『ジョン・ロックの思想世界──神と人間との間』東京大学出版会。
8.Jeremy Waldron, God, Locke, and Equality. Christian Foundations in Locke's Political Thought, Cambridge University Press, 2002.
9.山田園子 『イギリス革命の宗教思想』御茶の水書房。
10.横田耕一 『憲法と天皇制』岩波新書。
11.阿部美哉 『政教分離──日本とアメリカにみる宗教の政治性』サイマル出版社。
12.今関恒夫他共著 『近代ヨーロッパの探求3 教会』ミネルヴァ書房。
13.ハンナ・アレント 『革命について』ちくま学芸文庫。
14.森本あんり 『アメリカ・キリスト教史──理念によって建てられた国の軌跡』新教出版社。
 『アメリカ的理念の身体──寛容と良心・政教分離・信教の自由をめぐる歴史的実験の軌跡』創文社。
15.R.N.ベラー 『社会変革と宗教倫理』未来社。
16.井門富士夫編 『アメリカの宗教的伝統と文化』玉川大学出版部、『多元社会の宗教集団』大明堂、『アメリカの宗教──多民族社会の世界観』弘文堂。
17.小川晃一・片山厚編 『宗教とアメリカ』木鐸社。
18.森孝一 『宗教からよむ「アメリカ」』講談社。
19.ピラード/リンダー 『アメリカの市民宗教と大統領』麗澤大学出版会。
20.和田守編 『日米における政教分離と「良心の自由」』ミネルヴァ書房。
 
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