京都大学基督教学会・第16回学術大会より

 昨日は、京都大学基督教学会の夏の学術大会が開催された。数日前までは大雨の予報であったが、学術大会終了時には雨はあがり、また連日の猛暑も少しやわらいだ中での開催となった。参加者はいつもよりやや少なめとの印象であったが、名誉教授の水垣、片柳の両先生も出席され、内容的にはきわめて充実した大会となった。
 また、今回の大会では、総会が行われ、学会代表が、高野先生から宮庄先生へ、会計が武藤さんから岩野さんへ、それぞれ引き継ぎとなった。新しい体制での学会のスタートとなり、学会誌と学術大会のいっそうの充実が期待される。これまで、学会のためにご尽力いただいた、高野先生と武藤さんには、心からのお礼を申し上げたい。

 さて、大会では、次の研究発表が行われた。
・谷塚巌 「キルケゴールにおけるキリスト教思想の再考─「同時性」概念の諸問題─」
 今回の発表は、現在構想中の博士学位論文に向けた発表であり、その中間報告という位置づけのものであった。キルケゴール研究の方法論をめぐる議論の状況をおさえた上で、発表者のこれまでの仮名性から詩の問題への研究の展開から、キルケゴールにおけるレッシング問題へと議論をたどり、歴史(聖書学)と詩との関係の考察からキルケゴールにおける「復活」の問いの位置づけへと迫る構想が示された。発表の後半部分は、まさに今後の課題の展望という内容であり、すでに明確な結論を提示するというものではなかったが、問題の困難さを含め、問題の方向性は示し得たものと思われる。

・鬼頭葉子 「キリスト教と動物倫理─動物は搾取の対象か隣人か?─」
 発表者が、博士論文以降に展開しつつある、研究の一つについて、よく整理された発表であり、議論の状況と問題の意義がよく伝わる内容であった。近年の応用倫理学の展開に呼応するものとして、キリスト教思想でも現在、倫理的諸問題への議論は大きな高まりを示しつつあるが、動物倫理は今後の研究の進展が待たれるテーマである。発表では、聖書的キリスト教的な思想と実践における動物倫理の不在を批判的論じる諸論を取り上げるとともに、そこに今後の動物倫理の進展を可能にする可能性を探るものであった。鍵となるのは、「ケア」「共感」という論点であり、今後に大きな期待を抱かせるものであることが示された。

 次回の学術大会は、今年の12月17日(第三土曜日)である。お時間の許す方はご参加いただきたい。
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