南原繁演習より11b

 今回は、南原繁 『国家と宗教』、第2章「キリスト教の「神の国」とプラトンの理想国家」の最終節「四 問題の批判的解決への途」の後半の残りの部分になります。前回とまとめて掲載することも、考えましたが、分量的にかなり多くなりそうであったため、2回にわけました。演習は、曜日と時間帯をかえて、後期は、10月7日からのスタートになります。本ブログで取り上げるのも、しばらく、お休みです。

4.危機神学と国民の神学、あるいは国家本体論。
 「危機の神学」「弁証法神学」「非合理性を強調し、文化の全面的否定の立場に立つのは、従来あまりにも合理主義的に組織せられたい近代神学に対する反動としての意義は認められるも、それは自ら制限をもつものと言わねばならない。」(136)
「直ちに現代ナチス・ドイツの国家観の基礎となるものではない。しかし、もしそれが政治的非合理性と結びつくときには、ナチス国家観と提携し得る可能性と問題性がある。」
「一種の政治的ロマン主義」

「南原とバルト」というテーマは、しばしば取り上げられるものであるが、この箇所は、その際に問題となるものの一つである。『国家と宗教』においても、バルトは、この後の章でも問題となる。

「現代国家哲学の動向」「新たに政治的国家の実在を基礎づけるはために、宗教的実在の問題を取り上げるがごとくである」、「国家権威の復興の声が国民的宗教の問題と関連して叫ばれる」
「国民の神学」
「宗教的実在が哲学的認識の問題とされ、哲学的認識が世界実在の秩序の問題として思惟されるのである。」(137)
「さらに進んで」、「歴史的=社会的実在が重要となり」「ここに宗教的神秘に代った国家観・宗教的に普遍化された国家実在論が台頭するのである。」
「生の哲学」「現象学」の「あるもの」は「この傾向をたどる」、「社会的ヴァイタリズムの契機」「オントロギーの問題」「国家本体論」「国家実在論」
「前科学的な普遍的実在としての国家の存在」「国家実在の生命」「実体的な国家の概念が、絶対的な神的実在に代えられるのである」、「理念と力とを融合する神秘的実在」(138)

ナチスもそうかもしれないが、まさに日本の国体論。また、「現象学・・・」はハイデッガーが念頭にあるのだろうか。

「そのような国家の実在の認識がいかにして可能であるのか」(139)
「国家の「事実的実在」の問題ではなく、「権利問題」」、「国家をして真に国家たらしめる規範的当為または価値の問題」
「「正義」は政治上の合理的精神、または国家の価値的原理として、国家の実在を超えて妥当する根拠でなければならない。」(139)

 カント的。あるいはティリッヒの「起源と要請」。南原を同時代の議論の文脈におくことは興味深い。

5.プラトンの意義と限界。
「プラトンの意義」
「一面においては」「本体論的=形而上学的性格を有し」、「しかし、それにもかかわらず、もしろ彼において重要な意味は、哲学が一つのテオリアであるためのロゴスの精神」、「これに基づく倫理的当為」
「イデア論」は「実在の世界を超越」(139)
「彼の理想国家」は「人類の実践的努力の永遠の課題としての理念の意義を持つ」、「国家の正義価値」「価値それ自体は実在を超えて妥当するところのものである」。

「われわれが現代国家哲学の上に、プラトンの意味を汲もうとする場合には、一般にその批判的再構成をなすことが必要である」。
「一哲人王の「教理」の支配であってはならず」(140)、「万人が同じく理性的者として生きる、およそ人間の社会共同生活における合理的な支配の原理が立てられねばならないこと」、「政治上の合理主義」
「「神政政治」からの脱却」「権威主義からも解放」「各人の良心と理性によって理解せられ、要求せられるところの政治的共同生活への発展」
「プラトンと一般に古代ギリシャの世界においてまだ発見されなかった人間人格と自由の形成が前提」

南原は、基本的にプラトンを高く評価している、しかも、政治哲学・国家論として。しかし、それはカント主義という視点からである。

6.カント哲学へ。
「カントの言う「純粋実践理性の国とその正義」」「「神の国とその義」によって、常に支えられ、導かれるところのものである。」(141)
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