現代のキリスト教思想を理解するには

 現代のキリスト教思想の理解しようとする際に、欠くことができないのは、歴史的な視点である。思想が時代の密接に関わり、時代に規定されたものであるならば、また思想が取り組む課題が歴史的であるならば、その理解は、歴史的考察を必要とするのはあまりにも当然と言わねばならない(しばしばそれが通じない人間が存在するのは、困ったものである)。
 したがって、現代のキリスト教思想にとっても、20世紀のキリスト教思想史の考察は重要な意味を有しており、そうした研究は少なくない。20世紀のキリスト教思想史を弁証法神学から描くということを含めて、こうした研究の典型とも言えるのが、次の文献である。

H・ツァールント
『20世紀のプロテスタント神学(上)(下)』
新教出版社、1978年。
 原著は、Hainz Zahrnt, Die Sache mit Gott. Die protestantische Theologie im 20. Jahrhundert, R. Piper & Co, 1966. であり、こうした叙述スタイルは、その後類書を生み出すことになる。
 なお、邦訳が、「新教セミナー訳/井上良雄監修」となっているいきさつ(「新教セミナー訳」)についての説明は、上巻のあとがきに監修者である井上の説明がなされているが、これは最初は、現代神学双書に収録され、現在は、新教セミナーブックに入れられている。

<上巻>
第一章 大いなる方向転換
  神が語り給うた/『ローマ書』/危機の神学/弁証法の支配/宗教批判/シュライエルマッハーの転倒/神について語る二つの仕方/時の間に/神の神性の再発見
第二章 分離と分裂
  一九三三年の神学的実存/自然と恩寵/原啓示/バルトの「否!」
第三章 見よ、この人だ
  論争的神学/矛盾における人間/出会いとしての真理/千八百年にわたる教会の誤解
第四章 ご自身について語る神
  神の人間性/『教会教義学』/キリスト論的普遍主義/類比の方法/神の恵みの選び/天における独白
第五章 彼岸から此岸へ
  近代の決算/知的な誠実性/宗教の終焉/神と世界の間の人間/世俗化とキリスト教信仰/聖書的概念の非宗教的解釈/世界の世俗性の再発見
第六章 二つの国
  教会と政治/キリストの王権/現実のキリスト教的解釈/二王国説/希望の神学

あとがき

<下巻>
第七章 啓示と歴史
  歴史という「いまわしい溝」/信仰と理解/非神話化のプログラム/解釈学的方法/実存論的解釈/ケリュグマと歴史
第八章 史的イエスの再発見
  ブルトマン以後の時代/ケリュグマのキリストから史的イエスへ/信仰的自己理解/神の現実存在/歴史における神の歴史/歴史と実存
第九章 世界の現実における神の現実
  第三の道/相関の方法/存在についての問い(人間)/存在の力/新しい存在(キリスト)/信仰的リアリズム/キリスト教的普遍主義
第一〇章 プロテスタント時代の終焉か?
  義認論の新しい解釈/プロテスタント的原理/プロテスタント主義以後の時代/カイロス

あとがき
人名索引

 以上の各章について、その見出しから、内容が推定できるだろうか。 
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
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