宗教研究の動向から

 キリスト教思想研究においては、現在宗教的多元性をめぐる議論が多くの研究者によって共有されている。研究成果の刊行もきわめて盛んである。しかし、事柄の性格上、こうした研究を進める上で重要になるのは、キリスト教以外の宗教研究にも常に関心を持ち続けることであり、日本では、優れた宗教研究に触れる機会が比較的多いという点で、宗教的多元性の問題に取り組むには恵まれた状況にあると言うべきかもしれない。
 このたび、キリスト教思想研究とのかかわりからも興味深い研究領域の成果が刊行されたので、以下紹介したい。

澤井義次
『シャンカラ派の思想と信仰』
慶應義塾大学出版会、2016年。

はじめに

序章

第一部 シャンカラ派の宗教哲学的研究とその立場
  第一章 宗教学的パースペクティブ
  第二章 シャンカラ派伝統とその宗教的コスモロジー
  
第二部 シャンカラ派の宗教思想とその脈絡
  第三章 シャンカラ派修道院の歴史と変遷
  第四章 シャンカラ派の宗教思想の源流──特に「信仰」の概念と意味をめぐって

第三部 シャンカラ派における在家信仰とその思想
  第五章 シャンカラ派の在家信仰と伝統的習慣
  第六章 シャーラダー神信仰とその意味構造
  第七章 シャンカラーチャーリヤ信仰とその意味構造

第四部 シャンカラ派の出家遊行とその思想
  第八章 出家遊行の生きから──その思想と様態
  第九章 シャンカラ派における具体的な出家遊行とその思想

結論
略号ならびに参考文献

あとがき
索引

 本書は、著者が留学時代、博士学位取得より、30年余り、継続的に進めてきた研究の成果を刊行したものである。シャンカラは、R・オットーが、『東と西の神秘主義──エックハルトとシャンカラ』(人文書院、原著は1926年が初版)で取り上げるなど、比較宗教思想研究という視点から、宗教多元性をめぐるキリスト教思想研究にとっても、重要な研究テーマになり得るものであり、本書の刊行を機に、新たな研究の進展を期待したい。
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 これまで本ブログは、2013年度より2015年度まで科学研究費の交付(代表者・芦名定道)を受けて行われた研究を中心に、キリスト教思想研究に関わる情報を発信してきました。しかし、2016年度からの新しい研究プロジェクトに関連した事柄は、主に別のブログで取り扱うことにし、本ブログでは、これ以外の記事について継続的に内容を更新します(新しい科研に関するものも、記事の継続性の観点から一部はこちらでも扱います)。
 なお、本ブログにもしばしばコメントが寄せられますが、多忙のため、原則として応答その他の取り扱いはいたしません。

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